第39話
新たな年が明けた。
元旦はやはり初詣の人々で何処も一杯だ。それは普段は殆ど人気も無いこの神社でも同じだった。人混みの中を順番を待ち,境内の鈴を鳴らす。今日ばかりは朝も夜中もない。克樹は賽銭箱に小銭を投げると、静かに手を合わせた。隣にいるのは璃来と彩加だ。
……邪魔だろ。お前ら2人で行って来いよ。
克樹は璃来にそう言った。
彩加が3人で行こうと言ってるんだ。
「今年こそは彩加と付き合えますように」
璃来はそう言って柏手を打つ。
彩加は隣でそれを聞きながら複雑な心境だ。
「今年こそは予選大会で決勝まで行けますように」
克樹も祈りを込めた。
彩加も目を閉じたまま、黙って手を合わせている。
……馬場ちゃんの事を克樹と呼べますように。
「御神籤引こうか」
まずは彩加が引く。
中吉だ。まずまずのスタートである。
続いて璃来が引いた。
大吉だ。願い事は叶うとある。
「やったー!」
最後は克樹である。
凶だった。
「マジ?」
「そう言う時はこうすればいいの」
彩加は克樹の手から御神籤を取ると,近くの木に結んだ。
「これで災いはこの木に降り掛かるから」
「ありがと。彩加」
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