第7話

杏奈との初デートは翌週の日曜日に決まった。

駅の前で待ち合わせた。

約束の時間の10分前に行った時にはもう杏奈は来ていた。

制服とは違って、黒白のチェックのマキシ丈のワンピースが可愛い。髪もさり気なく下ろしていて可愛さと綺麗さが同居していた。

「お待たせ」

「私も今、来た所です」

杏奈はそう言って柔らかな笑顔を見せた。

「さて……何処行こうか。映画好き?」

「はい。大好き」

「じゃあ、大人気のピアニッシモ観に行こう

か」

「観たかったんです!」

杏奈の顔が輝いた。

こうして克樹と杏奈は映画館へと向かった。


この映画は失敗だった。

ヒロインが不治の病に侵されるからだ。

そして二人は引き離される。

克樹は涙が止まらなくなった。

「はい」

見れば映画は終わって、観客達は帰り始めている。

ハンカチを差し出されて見ると、杏奈が優しく微笑んでいた。

「あ、ありがとう。ゴメンね。泣いたりして」

克樹はハンカチで涙を拭った。

「いいえ。私も泣きました」


良かった。

映画を見て感動して泣いていると思っている。

克樹はホッと胸を撫で下ろしていた。

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