第4話

「参ったよ。あぶれる子がいたらいけないから満遍なく話しただけなのに勘違いした子がいてさ」

月曜日の朝、ホームルームが始まる前である。

教室で克樹は話していた。

「まあな。馬場ちゃんモテる時はモテるから」

岩崎璃来(りく)が苦笑いしながら言った。

そこへ江見彩加がやって来た。

「聞いたよ。馬場ちゃん。合コン行ったんだって?」

「人数が足りなかったからね」

「いい子はいた?」

彩加は胸の長さのポニーテールと大きな黒い瞳がとても印象的だ。

「全然」

克樹はサラっと返した。


校門の前に1人の女の子が来ていた。

女子ではなく男子に克樹の事を訊いた。

女の子は花崎高校のブレザーに赤いリボンの制服姿で立っていた。


「花崎高校の子?」

克樹が男子生徒から言われて、校門の前に行くとそこに1人の女の子がいた。

「あーこの間の合コンの時の」

「佐久間杏奈と言います。少しお話があるのですが」

こうして克樹と杏奈は裏門までやって来た。

「話って何?」

「私、この間の合コンであなたに一目惚れしたんです。私と付き合ってくれませんか?」

「あー別にいいけど」

「本当ですか?」

杏奈は喜びで目を輝かせている。

「俺、平日は野球部があるから、デート出来るのは日曜日だけだけど」

「私も日曜日だけです」

「何か部に入っているの?」

「野球部のマネージャーやっています」

「へえー。野球好きなんだね」

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