第44話
「アゲハ?大丈夫か?」
カゲロウが顔を覗き込んだ。
「あぁ。ありがとう。」
「危なかった。やばかったって。」
カゲの言葉にクスッと笑い優しく答えるアゲハに目を見張った。
「信じてた。カゲなら助けてくれるって。」
カゲロウが恥ずかしそうに後ろを向いて小さな返事を返した。
「当たり前だろ。」
するとカゲロウの脇腹にけりが入った。
「イッテ~。何するんだよ!」
フクロウがカゲロウの首もとを鷲掴みし、ドスを効かせた声で怒りを露にした。
「何が当たり前だ。全く助けてねーだろが!アゲハは既にメス入れられて血~流してんだろが!テメェにもいれてやろうか?あ?ドンだけ痛いか!」
フクロウの本気怒りに誰も反論出来なかった。ただし1人を除いては。
「ロウ。来てくれてありがと。でも、今回は僕の落ち度。何かあるって分かってたのに防げなかったのは僕自信。だからカゲは悪くない。でしょ。」
「…わかった。でもマジで自分をもっと大切にしろよ。頼むから。」
そういってフクロウはアゲハの髪を撫でた。
少し照れ隠しに目線をそらし静かに目蓋を閉じる。
フクロウはその横顔に見とれていた。
「あんた達、誰。」
一斉に声の主を見た。
完全に存在を忘れていた。
「木又 厚志君だね。」
「何で俺の名前…。」
アゲハはゆっくりと近付いて木又の前に立った。
「初めまして。以前、田島君の事を聞かせてもらった捜査員、覚えてる?」
木又は少しうつむいてすぐに顔を上げた。
「あぁ。」
「朝霧捜査官の同僚、風間です。」
「あんたも捜査官?」
「そうだよ。」
「あいつは?陸人はどこだよ!」
興奮している木又はアゲハの胸ぐらを掴み今にも殴りかかりそうに迫っている。
咄嗟にフクロウが間に入り力任せに木又の手をはがした。
「止めろ!まだ捜査中だ。」
「見つけろよ!捜査官だろが!頼むから…見つけてくれよ…。」
木又の悲痛な叫びにそこにいた誰もが沈黙している。
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