第28話

トンビは行方不明者の足取りをおっていたがあることに疑問を持った。

どうしても気になってしまい単独行動をしていた。


千葉県の行方不明者の田島陸人は専門学校に通っていた19才の少年だ。

早くに両親をなくし親戚をたらい回し、17才の時に母方の祖母と田舎で暮らすが一年後その祖母も他界。高校卒業後上京した。


埼玉県の行方不明者の藤沢 強は16才の時、交通事故で両親と姉を亡くした。その後養護施設で2年過ごし就職するも半年で退職。その後アルバイト先の同僚とルームシェアしながら過ごしていた。が21歳で消息を絶った。


今、トンビは6人目の行方不明者をおっていた。

引っ掛かりを感じたのは6人の共通点が天涯孤独であること。だからといって友達が居ないわけではない。

しかも、調べれば調べるほど意味が分からない。

なぜ、彼らなのか。なぜ、彼らだけなのかなのか?


「ヤバい、嫌な予感…。これはマズイかもな。」


まだ、全てを調べていないにも関わらず、トンビは調査を早々に切り上げ事務所に向かう。


「カラス!」


(どうした?)


「カゲってまだアゲハに付いてる?」


(うん、ぴったりとね。)


「カゲに伝えて。間違っても絶対に離れるなって。」


(どうした?)


「今から帰る。もしかしたらかなりヤバいかも。」


(アゲハ?)


「とにかく急いで帰る。話は帰ってから。」


(了解。)


焦る気持ちを押し殺すかのようにトンビは紅く染まった空を背に急ぎ帰路に着いた。


思い違いであって欲しい願いながら。

だが、無情にもこの予感は外れることはなかった。

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