第32話

「カラス!アゲハは今どういう状況だ!」


入ってくるなりボス、カトリが怒鳴るように話しかけてきた。


「今、移動してます。カゲが追跡中ですよ。」


「アゲハとカゲにも繋げ。」


「OKです。」


「みんな聞いてくれ。さっき依頼者から情報を貰った。」


カトリはカバンから手帳を出した。


「これは伊藤拓也が残していた手帳だ。伊藤拓也と連絡が取れなくなった日以降頻繁に病院に行っている。ドクターは奥野明久。」


カラスがガタッと音を立てて立ち上がった。


「アゲハが調べろって言った奴!」


「アゲハが?」


ツバメが眉間に皺を寄せながら質問返しする。


「アゲハがさっき侵入者に襲われた。」


「は?」


「怪我は大したこと無いって。でも鬼頭に病院につれてかれて、その診察をしたのが奥野。」


カラスの説明にカトリが反応する。


「なるほどな。伊藤拓也の手帳にも奥野の名前が何度もかかれている。しかも病院には診察履歴はない。」


ツバメはますます眉間に皺を寄せながら話した。


「履歴はないって…」


「履歴を残すと困るってことだよね。」


カラスの言葉にツバメは紙を書き上げながら言う。


「ますます意味分かんない。」


カトリは手帳を開けながら指示を出す。


「少なくとも奥野は鬼頭との接点がある。何かまだあるはずだ。カラス、二人の接点を調べてくれ。トンビはまだ戻ってないか。」


絶妙のタイミングで扉が開いた。


「ここにいます。カゲも聞こえてるよね。今のボスの話しにつながるけど、行方不明者のもうひとつの接点が見つかったんだ。」


カトリが不思議そうに答える。


「行方不明者の全員が天涯孤独者だった。でも調べてくと不思議なことにぶち当たったんだよね。不明者の中には同じ様な境遇の友達が何名かいた。でも、その友達には何も起こっていない。」


カラスはパソコンで何かを検索しながら質問返しをした。


「それって女の子だからじゃなくて?」


「今回の依頼者も女性だったし。男ばかりなんでしょ。被害者。」


ツバメが写されるモニターを見ながら答えるとトンビが不可思議なこと言い始めた。


「それがさ、ボスに言われて調べてくと確かに男性ばかりなんだよね。けどさ類は友を呼ぶっていうじゃん。友達で一人って言う奴にも会ったんだよね。そいつも警察に相談したけど取り合ってもらえなかったって。」


カトリは考え込むように椅子にゆっくり座った。


「で調べてくうちにひとつの疑問点にぶち当たったんだ。なぜ彼らなのか。って。」


トンビの言葉に反応するようにカトリが突然立ち上がった。


「まさか…。」


トンビはボスを見てニヤッと笑った。

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