第17話

車に乗って着いたのはかなり高級感のあるマンションの駐車場だった。


鬼頭に促されるまま荷物を持ってエレベーターに乗る。


かなり上の方まで登っている。


エレベーターを降りた直ぐに玄関だろうか、鬼頭が鍵を開けてドアを開ける。


「キリト君、どうした。入って。」


「あっ。お邪魔します…。うわ~。」


玄関から既に広く、綺麗だった。案内されるまま中に入るとリビングとダイニングキッチンがありとても広い。


「スゲー。」


「とりあえず、なんか飲む?用意するから座って待ってて。」


「あっ、はい…」


鬼頭はキッチンにいき、コーヒーを2人分入れ戻ろうとしたが奥からキリトの声に立ち止まり様子を伺っていた。


するとキリトはソファーに座ったり立ったりを繰り返している。


「スゲー、ふかふか。ヤバい!」


一人で感激している姿をクスクス笑いながら見ていた。


「どうぞ、飲んで。」


「うわっ。アハハ…。すいません。ありがとうございます。」


「大丈夫。とりあえず、今後の事だけど部屋はあるから後で案内する。次が見つかるまで居てくれていいから。」


キリトは眼を見開き慌てて答えた。


「そんな。ご迷惑かけられません。今日泊めて頂けるだけで…。明日、また探しますから。」


「今まで探しても見つかってないんだろ?」


キリトは何も言えなかった。

正直、金額の問題ではなく契約時の保証人の問題だった。身寄りの無いキリトには保証人になってくれる日とが居ないため断わられて居るのだ。


黙ってしまったキリトに鬼頭は続けた。


「こうしよう!家政婦。」


「えっ?」


「この家の掃除や炊事洗濯、僕のみの回りの事をやってよ。もちろんあの店のバイトも続けていいよ。休みの日や空いてる時間にやってくれれば住み込みと一緒だろ?」


「でも…。」


「よし!決まり!じゃあ先ずは部屋に案内しよう!おいで。」


そう言ってまた、キリトの腕を引っ張ってドアを開ける。


8畳以上はあるであろう広い部屋に机とベッドがおいてある。もちろんウォークインも。


「ここが君の部屋、自由に使って。その荷物は置いておいて。足りない荷物や置いてきた荷物は?明日の予定は?又、取りに行くなら連れてくよ!」


「明日の予定はなにもないです。荷物はこれだけです…。」


鬼頭は驚いていたが深くは聞いてこなかった。


「次こっちが僕の部屋。仕事のものとかあるから、この部屋は掃除しなくていい。こっちにバスルーム、ここがトイレ、キッチンも自由に使って。食材も余り入ってないけど…ハハ、使っていいから。」


「あの…あの!鬼頭さん、本当にいいんですか?俺なんかを信用して…。」

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