第52話
あれから毎日ニュースを騒がせている。
若手トップ弁護士が大量殺人の容疑者であり医者の奥野が現行犯逮捕さたとの報道だ。
しかも警視庁の現役警察官が二人も関わっていたことで警察は火消しに翻弄されていた。
そのため鬼頭が抱えていた案件、
堺 厳次郎の汚職、裏金の件はうやむやにされたのだ。
しかも、捜査を中断させたのは堺 厳次郎本人で今回の事件にかこつけて圧力をかけたためだった。
カトリが警視庁に呼ばれたのはこの事だった。
つまりアゲハを襲った二人組の事も無かったことにされた。
事務所ではチームのメンバーがそろっていた。
被害者は28人、死亡者27人。
唯一の生存者、田島陸人と現場証言者、木又により鬼頭の悪行が全て露見した。
何と鬼頭は健康な臓器を奥野に摘出させ、中国に売りさばいていた。
警察官二人を率いれることで捜査の手が迫っていないかを確認していた。
莫大な報酬で私腹を肥やしていたのだ。
一歩間違えればアゲハの臓器も失うところだった。
「堺 厳次郎は何らかしらの情報を手に入れ鬼頭のまわりで多額の金が動いていることを知った。鬼頭を率いれることで裏金資金づくりの財源確保を企んだ。だが、鬼頭はそれに気づき堺を政財界から抹殺しようとしたが失敗した、ってところだな。」
ボスの話を聞いたカゲロウは吐き捨てるように言った。
「いつか堺に地獄を見せてやる!」
「何そんなに怒ってるの?」
トンビの言葉にカゲロウは突っかかるように叫ぶ。
「は?当たり前だろ!あの糞ジジイ、ほおずきに行く度にアゲハを呼んで酌はさせるわ、手をスリスリするわ、肩を寄せて抱き締めるわ、散々セクハラしたんだぞ!」
「あー、死刑確定だね。」
カラスの言葉に被せるように後ろからスズメの低いこえがきこえた。
「殺す!」
ツバメはクスクス笑いながらみんなをみて一言。
「アゲハは愛されてるね~。」
いつも現れないフクロウがいつの間にかカラスの横に現れた。
「今すぐ消すか…。」
カラスが驚いた顔で必死にしがみついた。
「止めて~。冗談にならないから!」
そこにアゲハの姿はなかった。
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