第33話

頭の中で仲間の声が響く。


(行方不明者の安否確認だけではなさそうだな。)


アゲハは何かを察した。


「鬼頭さん、何か手伝うことありますか?」


「いや、大丈夫かな。一応、中の案内するね。」


そういって立ち上がり歩き出す。


「あの日押し入って来た二人は誰だか分かってるんですよね?」


その言葉に鬼頭は立ち止まり振り向いた。


「なぜ?なぜそう思ったの?」


「鬼頭さんと警察官二人が例の件っていわれていたので…」


「あぁ。よく聞いてたね。」


そういって鬼頭は作り笑いから力が抜けた笑いに変わった。


「残念だけど教えられないんだ。今抱えている案件だからね。今警察が調べてくれてるから。」


「聞いてすいません。大丈夫です。」


そういって頭を下げた。


「さぁ!案内するね。君の部屋は2階だよ。」


そういって階段を上がって行くといくつかの部屋があった。廊下を渡り一番奥の部屋にむかった。


「僕は隣の部屋に入るから。それはそうとキリトはここに来る前に家を開けること誰かに言った?」


「いえ。誰にも。」


鬼頭はそうかと答えながらキリトの部屋の扉を開けた。


キリトは促されるまま部屋に入った。


(監視カメラ、やけに多いな。)


ごく普通の部屋だった。見た目は。一歩一歩奥へ入るとキリトはいきなりふらついた。


ツッ…。


(なんだ…)


頭を抱えたがすぐに気づかれないように平気な振りをする。


「荷物置いたら食事にしよう。」


「はい。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る