悪意

第34話

トンビはとんでもないことを口にした。


「行方不明者の知り合いには同じ様な境遇の友達もいた。だが、彼らには何もない。というよりは問題有りだった。」


「問題?」


カラスの問いかけに答えようとトンビが口を開いたとき、カゲロウから連絡が入った。


{着いたぜ、次の住まい。戸建てだわ。しかもなんもねー。カラス回り調べといて。後、押し入った二人組のこと何かわかった?}


カゲロウからの問いかけにカトリが答えた。


{まだ調べている最中だ。トンビからの新たな情報が有る。}


「じゃあ、改めて。さっき言ったように何も起こらなかった子達は問題有る子。例えば田島 陸人には親友の木又 厚志がいた。木又も施設育ちで天涯孤独、だけど彼は今も現在。」


「会ってきたの?」


「あぁ。会ったよ。田島陸人がいなくなっていまだに探している。次、藤沢 強、施設で出会った友達 、中村 理人と上京。彼も健在。 その他にも飯島 直樹、吉川光樹、松嶋 健太

同じく健在。」


ツバメが眉間に皺を寄せながら髪をかきあげた。


「で、何が違うの?」


トンビはいつもよりニヤつきながらみんなを見た。


「木又はタバコを吸っていた。」


「はっ?」


「中村は酒に強くて毎日飲んでた」


「えっ?…」


「飯島は…」


「待って。」


ツバメがストップをかける。


すると、カゲロウが苛立ったようにトンビに話しかけた。


{トンビちゃん。何、早く言いなよ、どういうこと?悪いってその程度?}


「そうだよ。健在な子達はみんなタバコや酒、クスリなんかやってた子。」


ボスは突然立ち上がった。


「待て、まさか…。」


「さすがボス。気づいちゃった?行方不明者の全員が健康優良児。」


その時突然事務所の扉が開いた。

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