監視

第19話

ー監視ー


バスルームに入ってすぐカラスに話しかける。


"今の話、裏を取って"


"了解、…アゲハ、気を付けて、監視されてる。"


"カメラ?"


"そう"


"わかった"


鬼頭の話はとても説得力ある魅力的な話だ。

優しく親切な人。自分の本当の境遇ならいとも簡単に信用しただろう。だが、キリトにはどうもしっくりこないでいた。

だからこそ慎重に事を進める必要があった。


鬼頭のマンションの間取りは4LDK、しかし案内されたのは3つの部屋のみ。しかも至るところに監視カメラが設置されている。


目的は分からないが慎重に行動する必要がある。



オフィスではチームが待機していた。

アゲハの問いかけで動き出す。


トンビが声を挙げたことで全員がモニターを見た。


「うわっ!いくつあんの?」


「おいおい、かなりの変質者じゃん。」


カゲロウが眉間にシワを寄せながらモニターに見いった。


部屋にいたはずのアゲハが移動する。

バスルームだ。


「こいつ、どこで見てんの…。」


カゲロウが独り言の様に呟くとつかさずトンビがにやけた笑みを浮かべながら答える。


「どこだと思う?何とこいつの部屋のウォークイン、しかも隠し部屋!キモいよね~。」


「ヤベーな…。」


会話をしている間にアゲハが服を脱ぎ始めた。


「トンビ、接触不良に見せかけて切って!」


トンビはすぐにノイズを入れバスルームのモニターを切った。


間を置かず鬼頭は自室を出た。


「トンビ、アゲハが戻せって!ちょっと怒ってる」


「えー!カゲの指示出し!そう伝えてよ!」


するとカラスがカゲロウを見てため息を着いた。


「アゲハが勝手すんなって。」


カゲロウはくそッと呟いて顔を背けた。


「たまに思うけどさ、カゲってアゲハの恋人みたいだよね。」


トンビの言葉に部屋の隅っこにいたつばめがカゲロウをからかう。


「残念、片想いちゃんなんだよね。」


「は?ちげーよ、ってかお前いつの間に…。」


「初めから?」


トンビとカラスが固まった。


突然カラスはハッとして画面を隠そうと両手を広げ上下に動かした。


「つばめ!見ちゃダメだ!」


その行動につばめは呆れた顔をすると後ろからスズメが顔を出した。


「いつ見てもいい体してるわよね。アゲハって。」


その言葉にそこにいる全員がギョっとしていた。


「カゲ、ライバルは多いわよ!」


つばめの言葉にカゲロウは大きなため息をついた。

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