依頼

第14話

ー依頼ー


任務につく前、依頼者でもある石津 実和にあった。


喫茶店で待ち合わせ今、向かい合わせで座っている。しばらく沈黙が続く。


始めに話し出したのは実和だった。


「…あの…ありがとうございます。」


「べつに。」


「警察に何度も相談したんです。だけど誰も真剣に聞いてくれなくて」


「そっ。」


「でも、カトリさんが声をかけてくれたら…」


「カトリさん…ね」

"ボスらしいな…"


アゲハは素っ気ない態度を取る。

その事に実和は大喜びしたことを後悔した。


「…やっぱりご迷惑ですよね。」


その言葉にアゲハは反応し冷たい目線をなげた。


「だったらど…」


「でも、お願いします‼️」


アゲハの言葉を遮り突然立ち上がり頭を下げる実和の行動は意外だった。


「彼の事を探してください。お願いします‼️」


「座って。」


冷静な態度のアゲハの言葉に従うようにうつ向きながら椅子に座った。


「ハァ、彼とはどういう関係?」


「幼馴染みです。私も彼も一緒の施設で育ちました。」


「施設?」


実和は今までの事を話し出した。


実和と行方不明の男性、伊藤拓矢は小さいときからある施設で過ごした。


養護施設だ。気が合う幼馴染みの様に時には兄弟のように育った。


その関係に変化が起こったのは実和が高校2年の時、拓矢は3年だった。

帰り部活で遅くなった実和が人通りの少ない道で襲われた。実和が必死で抵抗するも力で勝てるわけなく諦めかけた。

その時遅い実和を迎えに来た拓矢が異変に気付き助けた。拓矢は空手道場に通っていて黒帯だったため犯人は捕まり実和も間一髪助かった。


そこから2人の関係は幼馴染みから付き合う間柄に変わっていった。

数ヶ月後には結婚するはずだった。が

突然連絡が取れなくなり3ヶ月が過ぎようと

していた。


警察に行ったが相手にして貰えなかったが諦めるわけには行かなかった。

お腹には新たな命が宿っていたからだ。

その思いがカトリ(ボス)を引き寄せたようだ。

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