第23話
キリトはインターホン越しに配達員を見て玄関にむかった。ドアを開けると二人の配達員が荷物を持って立っていた。
「お届け物です。」
そう言ってキリトに持っていた箱を渡した。
一瞬だった。
二人の配達員が無理やり部屋に押し入ってきたのだ。
キリトは一人の男に口をふさがれ羽交い締めにされた。もう一人の男は土足のまま中へズカズカと入っていく。
キリトは引きずられるように中に移動し後ろ手に近くにあったコードで縛られ身動きが取れなくなった。抵抗を試みたが鬼頭の監視があるため下手に動けなかった。
"こいつら、鬼頭の回し者か?それとも…。様子を見るしかなさそうだ"
キリトは冷静に状況把握していた。
突然腹部に痛みが走る。
「ウッ!」
男の一人が髪を鷲づかみし、無理やり上を向かせた。
「USBはどこだ、」
なにも答えないキリトに苛立ち顔を殴った。
だが、キリトは睨み付けはしてもなにも話そうとしない。
「もう一度聞く。USBはどこにある?」
「知らねーよ。」
男は鼻で笑いすぐさま数発殴った。
キリトの口の端が切れて血がにじんでいた。
「ガキの癖に。答えろ。あの男から受け取った物は?あいつの部屋はどこだ。」
「知らないもんは知らない。」
言い終わるかどうかで男が立ち上がり腹を蹴り飛ばした。
もう一人の男が部屋中を荒らしていく。
探しているのか壊しているのかわからないくらい適当すぎて笑えるほどだ。
奥の部屋に入り派手な音を立てているのが聞こえる。相当散らかしているのが音だけでも想像がついた。
携帯が突然なり、男がイライラしながら取った。
「おう、は?くそ!…わかった。」
そう言うと携帯をきりもう一人の男に指示しながら部屋中を探し始めた。
「あー!ねーよ、みつかんねー。ホントにこの部屋にあるんっすかねー。」
「くそッ、時間だ。行くぞ。」
「えっ?まだ見つかって無いっすよ。」
「いいから、行くぞ。」
二人は会話をしながら玄関に向かっていった。
二人が出ていった数分後、複数の足音が玄関口から聞こえてきた。
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