第10話
「今回の任務は人探しだ。」
第一声にそこにいたチーム全員が不思議そうな顔をした。
カゲロウがボスに向かって不満そうに答える。
「ちょっと待って、人探しなら探偵でいいっしょ。」
回りもうなずいている。
だがボスは首を横に降った。
「そうだな。ただの行方不明ならな。」
その言葉に反応したのは情報捜索部門のトンビだ。
「ということは普通の行方不明ではないってことですか?」
「あぁ。そうだ。」
しばらくの沈黙の後、ボスは経緯を話し出した。
「じゃあ、その彼女の話しは嘘はないんですね。」
「あぁ。嘘はない。ただ…これだけならお前達を動かすまでもない。問題は同じような不明者がまだ居たことだ。」
「不明者が?」
初めてアゲハが反応した。
「実は独自で調べた。だが、調べていくうちに有ることに気がついたんだ。」
そう言うとバソコンを叩きカラスにスクリーンに写すよう促した。
そこに写っていたのは関東の地図だった。
その横に複数名の名前が羅列されていた。
「ここに有る名前はこの2年程で発生した行方不明者だ。」
「2年?」
「そうだ。しかも被害者には共通点が有る。」
「共通点?」
カラスが不思議そうに聞き返すとボスは説明し始めた。
「そうだ。先ず一つ目、年齢が20代であること。次に身寄りや家族がいない独り身であること、そして特定の就職についていないことだ。そのため、捜索願が出ていなかったり受理されても足取りが掴めないものも居る。」
「うわ~。マジか」
トンビが聞く態度らしからぬ体制で身体をそらしながら叫んだ。
「この横の地図は?」
アゲハがスクリーンに近づき質問する。
「行方不明者の住所だ。」
その答えにつかさず質問したのはカゲロウだった。
「ここまで分かって何で俺たちが?」
「お前達の[力]が必要なんだ。…警察ではそれぞれの行方不明者の情報は何も掴めていなかった。ところが俺が調べていくうちにもう1つ共通点を見つけた。」
そう言ってスクリーンの画面を変えた。
そこに写し出されたのは一人の男だった。
「鬼頭 司 。最年少にして最高点で資格を取得した若き弁護士だ。学歴も去ることながらこれまで扱った弁護は100%と言っていいほど勝訴になっている。」
アゲハがスクリーンの男を見ながらボスに質問する。
「この男がどう関係してるんですか?」
「不明者の最後の接触者だ」
「全員?」
「あぁ。俺の調べた限りではな。」
「マジかよ」
カラスが頭をかきむしるかのような仕草をする。この仕草はヤバいと感じたときのカラスの癖だ。
「当然、こいつは職業柄万全の体制をとっているはず。だからなんの証拠もない。だか、俺は犯人はコイツだと確信している。」
カゲロウが眉間に皺を寄せてボスをみた。
「は?確信?ってことは会ってきたんですか?」
「会った」
「色は?」
ボスは皆を見渡し右の口角だけ少し挙げて答えた。
「黒だ」
「確定ジャン」
ため息混じりの呟くようにカラスがくちにだした。
「だから確実な証拠を掴みたい。同時にこの行方不明者の身柄確保。生きているか分からんがな。そのためにはお前達の力が必要なんだ。」
「で、どうするの?」
カゲロウが少し楽しそうに指示を仰いだ。
「アゲハ、オトリ…行けるか?」
「ハイ。」
「カゲロウ、サポート頼む。それとトンビ、行方不明者達の足取りをもう一度確認してくれ。こちらの情報は伝える。」
「了解!」
「カラス、カゲロウとアゲハのサポートと鬼頭の監視、行動の把握を頼む。後、雀と燕に待機を伝えてくれ。いつでも動けるようにな。」
「OK!」
「アゲハ、一度彼女に会ってくれ。」
「わかった」
そう伝え終わるとボスは手を三回叩いた。
これが始動の合図だ。
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