第2話
「オイ!もっとよく回りを探せ!」
「はい!」
「こっちには居ない、そっちは?」
「ダメだ、何か見つけたら知らせろ!」
ふと気づいた時外から声が聞こえた。
(戻ってきた!)
体育座りの膝を一層強く引き寄せた。
体が勝手に震え出す。
足音が扉の前で止まった。
(ヤバい!見つかっちやう!)
ゆっくりと扉が開く音がする。
(どうする、逃げなきゃ、死にたくない!)
僕は扉が開くのをじっと見ていた。そして男が僕を見つけてしゃがみこんだ瞬間、勇気を振り絞ってそこにあったジャガイモを投げつけ体当たりした。
「うわっ!」
男が尻餅を着いた隙に勝手口から裸足のまま外へ飛び出した。
「おいっ!まて!止まれ!」
尻餅を着いた男が声をかけてくる。
(止まるもんか!生きるんだ!)
裏山に向かってむしゃらに走った。
辺りは薄暗く激しい雨が降っていた。
それでも僕は走り続けた。
止まったら終わりだと。
後ろから男達が何か叫びながら追いかけてくる。
だが雨音にかき消されて何を言っているのか分からなかった。
(もう少しで…)
いつも遊んでいる秘密基地に向かっていた。
後少し、入口が見えたと思った瞬間、雷が落ちた。
一瞬だった。体がしびれ、身体中に痛みが走った。そして僕は意識を無くした。
(母さん、ごめんなさい。約束、守れないや。)
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