第31話

「こんばんは。大将、今日も宜しく。」


「いらっしゃい。いつもありがとうございます。」


ほおずきを開けた一番目のお客様が見え大将は向かえた。


「あれ?大将、元気無いね。それに、あの若いこ、風間君だったか今日は休みかい?」


大将は苦笑いしながらごまかした。

キリトからの連絡がない。こんなことは初めてだった。携帯に電話するが県外なのか切っているのか繋がらない。


嫌な予感がする。


以前、キリトが鬼頭から待ち伏せに会ったことを思い出した。その後鬼頭の話を聞いたことはないがおそらく関係があるのだろう。

と勝手に考えている。

キリトはあまり自分のことは話をしない。だからといってこちらから根掘り葉掘り聞くこともしない。その関係が大将には楽だった。


「すいません。彼は今日お休みなんです。」


「あ~。それで大将、寂しそうにしてるんだね。」


「寂しそうですか?自分では気付きませんで…。」


ハハハ、


笑ってごまかすしかなかった。

だが内心気が気ではなかったが自分には連絡がない以上どうすることも出来なかった。


(何もないといいが…。)


大将は自分をごまかすように仕事に集中した。

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