第36話
「カゲ。さっき言ってた押し入り強盗二人、わかったよ。橘が雇った何でも屋。」
{橘?堺 源次郎の秘書の?}
「ご名答!政治家 堺の秘書、橘 和美。なかなか難しい仕事だったよ。繋がりが分かんなくて。でも見つけたんだよね。どうやら今鬼頭が抱えている案件は堺 源次郎絡みみたい。それに気づいた堺側が先手を打って証拠データを片付けようとした。飼い猫に噛まれたって感じ?」
トンビの話しに耳を傾けていると事務所の扉が開いた。
「あーもー疲れた!」
スズメが入ってくるなり壁際のソファーに座り込んだ。
「あれ?どこ行ってたの?こんなに汗かいて。珍しいね!」
ツバメが楽しそうに話しかけるとスズメはおもいっきりにらみながら話し始めた。
「ツバメあんた、嫌な奴ね。私がこんなになってるの楽しんでるでしょ。ほんと意地の悪い奴。」
「そんなこと無いよ。ちゃんと心配してるんだから。フフフ。」
「アゲハの為じゃなきゃやんねーよ。くそが。」
ボスは会話を聞いていないかのようにスズメに問いかけた。
「で?」
「アゲハに言われて調べてた件、わかったわよ。褒めてよね。奥野はヤバい奴だったわ。今の病院に入るときも履歴詐称してるって判ったの。アメリカで勤めてたときはかなり有名だったみたい。解体や奥野っていうあだ名までついてたわ。」
カラスがスズメに問いただす。
「おいおい、解体やって。」
スズメは扇風機を自分に当てながら淡々と説明していく。
「アメリカの大学を卒業後有る病院に入った。そこで何度か手術をしたけどことごとく患者が死亡してる。しかも難しいのばっか選んでたって。はじめは助からない可能性が高い手術だったから回りからは同情されてたみたい。けど有るドクターが不審に思い立ち会ったところ奴の異常性に気づいた。奴は病気を直す事より綺麗に切ることに固執してたらしいわ」
するとカラスが不思議そうに聞いた。
「鬼頭との接点は?」
スズメはカラスをにらみながら声を低くする。
「最後まで聞けよ。」
「すいません。」
速攻で謝ったカラスの頭をなぜかツバメが撫でて慰めている。
「アメリカでばつが悪くなったのかその後、中国に渡った。裏家業に手を染めたの。そのときに会ったのが鬼頭。鬼頭は自分の思惑に当てはまる仲介者を探していた。奥野は悪さをしていたから日本に帰れなくなってた。」
「奥野を助ける代わりに思惑の荷担をさせたってことか。」
「ボス。その通りよ。褒めてよね。」
ツバメがボスを見て髪をかきあげた。
「思惑って?」
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