第42話
地下には広い部屋があった。その一角にビニールで囲われた場所がありキャスター付きのベットが一つおいてあった。
キリトは意識無く1人ベットに寝かされている。既に点滴している状態だった。
木又 厚志は友である田島陸人を探す為、奥野を付けてきた。案の定、怪しい所にたどり着き忍び込んだ。そこには見たことの無い男性が意識の無いまま寝かされている。生きているかを確かめようと近付いて、頬を触った。
冷たい。
だけど胸を見て息をしているのがわかった。
ホッとしたとき後ろから衝撃があり。意識を失った。
黒川は気絶させた男を一旦上につれていった。ここで殴ると音で気づくかもしれないからだ。動けないほどに殴り飛ばした後再び地下につれてきた。
奥野は白衣を着たまま手袋をし左手でキリトの胸を触った。
右手にはメスが光っている。
奥野は躊躇すること無くメスをキリトの胸の真ん中に滑らした。
奥野の回りには鬼頭と、黒川、石井が立っていた。
「さっさと終わらせて。あのネズミもばらさないといけないからね。」
鬼頭の言葉に奥野が反応した。
「この子の血、キレイだね。」
キリトの胸にビー玉くらいの血溜まりができた。奥野がゆっくりメスを下ろそうと動かしたとき、あろうことかキリトの目が開いた。
ゆっくりと空いた目に写ったのはまぶしいライトとマスク姿の奥野。
キリトの意識は痛みで一気に引き戻された。
「あぁー!」
縛られているため身動きがとれない。
「ああー!鬼頭さん。これは?」
鬼頭は驚いた。
麻酔から覚めたのだ。しかも、2時間効くはずが10分そこそこしかたってない。
「ありえない。」
「奥野!もっと麻酔を追加しろ!」
黒川の言葉に慌て動く奥野が見えた。
キリトは痛みで気を失うことも出来ず、息が上がり痛みに耐えながら鬼頭を気力だけで睨み付けた。
鬼頭はその顔を見るなり嬉しそうにほほえみキリトに話しかけた。
「素晴らしい。キリト、私は君ほど高潔な人間を見たことがない。君の内臓を全部僕にくれないかな。」
「内臓…。臓器売買…。」
「その通り。キレイな内臓はかなりの高額に化けるんだ!人の役にたてるんだよ!」
「ふざけるな…。」
鬼頭と話している間に奥野が麻酔であろう吸入マスクを無理やりキリトに被せようとした。
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