25
あのさ、ずっとさ、君と一緒にいてもいいかな? ……だめかな?
やがて、霰はそこで涙を流し始めた。
透明な涙を。(……それは、とても久しぶりの涙だった)
とても悲しかったから。
とても悔しかったから。
なにもできない自分が。飾の抱え込んでいる悲しみが、自分にもたくさん、たくさん伝わってきたから。
だから泣いた。泣いて、泣いて、泣き続けた。
……飾と一緒に。
その手を(やっぱり透けてしまって重ねることはできなかったけど)だまし絵のように、飾の手と重ねながら。霰は泣いた。ぽろぽろと涙を流し続けた。
私はなにをしているんだろう? 私はなんて無力なんだろう? (本当に強く)そう思った。私は飾と一緒に泣いてあげることすらできないのだ。
……飾。飾。ごめん。本当にごめんね。
霰は言った。
すると、その瞬間、霰の涙でにじんだ世界になにかの光が見えた。その光に、輝きに、霰は見覚えがあった。あの光はあのときに、飾と一緒に悪い幽霊退治をしたときに、みた光だ。と霰は思った。
その光は霰の流した涙がおぼれおちた真っ黒な大地のうえで光っていた。すると、目の前にいる飾に変化がおきた。
飾が泣くのをすこしだけやめて、とてもおどろいたような顔をして、その『霰の見ている光のある大地の上を霰と一緒に見ていた』のだ。
霰は驚いた。この光は自分にしか見えていないのだと思っていらからだった。(霰は今目の前にいる記憶の飾になんの干渉もできないのだと思いんでいたのだ)
飾はまだ(かわいい目を大きくして)とても信じられないといったような顔をしてその光をじっと見ていた。霰はそんな飾の顔をずっと、じっとただみつめていた。
すると少しして飾の顔がゆっくりと前を向いて、飾をみている霰の目と目が空中でしっかりと重なった。
「……霰?」
その飾の声を聞いて、霰の体は(魂は)ぶるっと震えた。
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