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「飾ってさ。なんかよくみると猫ににてるよね」と霰は言った。

「そうかな?」と自分の小さな顔を触りながら飾は言った。猫っぽい顔をしているといわれたことはなかったのだけど、どうなのだろう? (自分ではよくわからなかった)ただ猫っぽい目をしているとは自分でも前から思っていた。(自分はたしかに猫目であると思う)

 飾は霰の顔を見る。霰は相変わらずとても美人の女の子だった。でも、猫っぽい顔はしていなかった。とても整っているし、目も大きいのだけど、猫っぽいとは思わなかった。(大人っぽい顔をしているという印象だった) 

「飾」そう言って飾みて微笑む霰。

 そんな夢を飾は見ていた。

 目を覚ますと、そこは神社の社の中だった。昨日、動物霊の猫の呪いについて調べ物をしていて、そのまま眠ってしまったようだった。

 朝日の差し込んでいる社の中で、むくりと体を起こした飾は、……そうか。ぼく、あのままつかれて眠っちゃったんだ。とぼんやりする頭の中で思った。

「ふぁーっ」と大きく伸びをしながらあくびをした飾はまだ眠たい目をこすって起き上がると、横戸をあけて外に出る。

 外に出ると気持ちのいい朝日と真っ青な空が見えた。それに気持ちのいい風が吹いている。優しい風。その風が飾のポニーテールの髪を少しだけ揺らした。

 飾はそのまま今日の時間を神社の敷地内に立っている柱時計で確認する。それからきょろきょろと神社の境内を見渡した。

 うーん。おかしいな。ぼくが起きるのが遅かったからなんだけど、もう約束の時間だし、霰が神社にきていてもおかしくないんだけどな。と首をかしげながら飾は思った。

 霰も寝坊しているのかな? それとも猫の動物霊の呪いがひどいことになっているのだろうか?

 その可能性も否定できない。飾は悩んだ結果、木立家まで霰を迎えにいくことにした。

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