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お風呂から出ると台所ではお母さんはお兄ちゃんに「ねえ、奈緒ちゃんとはどこまでいったの? 教えてよ」とそんなことを(二人でお茶を飲みながら)とても楽しそうな顔で聞いていた。
霰は階段を上がって自分の部屋にいくと、もう一度鏡をみて自分の顔を見る。そこにはやっぱり猫の耳と猫のひげがあった。
どうしよう? もしかして私はこのままだんだんと猫になっていって、最後には本当に一匹の猫になってしまうのではないかと思うとすごく怖くなった。
うー、と悩むのだけど、悩んでいてもなにも解決しないのでとりあえず今日はきちんと眠って明日にそなえることにした。(怖かったけど、ベットの中にはいるとちゃんと眠たくなった)
……大丈夫。大丈夫。きっと今ごろ飾がなにかいい方法を考えてくれているに違いないと思った。(こんな私のことを飾がなにもしないままでほおっておくわけがないと信じていた)
「おやすみなさい」と言って、霰は電気を消して、眠りについた。その眠りの中で霰は自分が猫になる夢を見た。(その夢の中では迷子の猫になった霰のことを飾が「どうしたの? 大丈夫?」と言って拾ってくれたので全然寂しくはなかった。むしろその夢はとても楽しい夢だった)
朝、目を覚ますと鏡を見る。なくなっていてくれればと思ったのだけど、やっぱりそこには猫の耳とひげとしっぽがあった。
霰は飾に会うために(白い大きめのパーカーと黒のハーフパンツ)着替えをすると、「いってきます」と言って朝早い時間に家を出た。
朝、そうやって霰が木立家からでると、道路の上に不思議なものがあった。それは『動物の足跡』だった。それは『肉球のある猫の足跡』のようだった。
その不思議な猫の足跡を見て、霰はなぜか(そっちにいくつもはなかったのに)その猫の足跡を追いかけるようにして、ふらふらとその足跡をたどって一人、歩き始めた。
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