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「……霰は変わってるね」
と神社の階段のところに霰が座って本(有名なファッション雑誌)を読んでいると、柱の横に立ってのんびりと空を見ていた飾が霰にそう言った。
「私が? どうして?」
本を読んでいた霰が顔をあげて飾に言う。(霰は白のティーシャツとミニのデニムのジャンパースカートを着ている。足元はスニーカーだった)
「変だよ。だって、ぼくが幽霊だってわかったあとも(めちゃくちゃびっくりはしていたけど)ぼくのこと全然怖がったりしないしさ。もちろん、ぼくの姿が見えたり、声が聞こえたり、それどころかこうして、ぼくと『手と手をつなぐことすらできる』って言うんだから、これはもう変わっているというよりは、霰の『変な力』のようなものかもしれないね」と飾は霰の手をぎゅっと握りながらそう言った。
「どうもありがとう」霰は飾に手を握られるままにして笑顔でそう答える。
それから飾は霰の座っている神社の古い木の階段の横に自分も腰を下ろして座った。 『本物の幽霊』である飾には、体重というものがほとんどない。(魂の重さというのだろうか? 本当に少しだけ(数グラムくらい)飾には質量というものがあった)
だから、飾が古い階段の上に座っても、ぎいぎいする音は全然しなかった。(まるでそこに東雲飾という幽霊の女の子なんて本当はいないのかもしれないと、霰が思ってしまうほどに……)
「それで霰はこうしてその変な力を使って、物珍しい幽霊のぼくとお話をすることで、毎日のように学校帰りの放課後の時間を神社で潰している、ということだね」
「うん。そうだよ」
霰は飾の言葉ににっこりと(満面の笑みで)嬉しそうに笑ってそう言った。
霰は飾とこうして小学校の帰りの放課後の時間に神社で一緒にお話をするのが、本当に大好きだったからだ。
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