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「幽霊のぼくは怖くないのに、人間の友達は怖いんだね、霰はさ。やっぱり変」
ふふっと笑って飾はそう言った。(飾は足をぶらぶらと揺らしている)
「怖くはないよ。……ただ、ちょっとだけ苦手なんだ」
「苦手?」顔を向けて飾は言う。
「うん。生きている人間が」と霰は(ぼんやりとした顔をして)言って青色の空の見上げた。
真っ青な春の空。(風の強い日)飾は霰と同じように空を見る。二人一緒に神社の古い木の階段のところから澄んだ空を見上げている。
「……やっぱり変だよ」
飾はつまらなそうな顔をして霰にそう言った。
霰は不思議と幽霊の飾ととても気があった。(生きている飾と出会ったとしても絶対に友達になれたと思う)
飾はもう死んでしまって(東雲飾が亡くなったのは八月十五日だった)幽霊になってしまったので、どんなに時間がたっても、お誕生日(東雲飾のお誕生日は七月七日だった)がきても年齢をとることはないのだけど、今のところ、二人の年齢は同じ小学校六年生の十二歳だった。
「なに? 僕の言っていること疑ってるの?」猫のような鋭い目つきをして飾は言う。
飾が勢いよく小さな顔を動かすと、その後ろ髪のポニーテールが、まるで猫の尻尾のように空中で揺れ動いた。(そのゆらゆらした髪の動きが霰は大好きだった)
「あのね。今はこんなになっちゃったけどね。これでも、僕も『悪い幽霊退治』をしたことぐらいあるんだよ」
そう言って飾はくるりと霰の前で一回転をしてから、霰にふふん、と言って(ない)胸を張った。(飾の長い翡翠色のスカートがふわっと霰の目の前でゆっくりと開いた傘みたいに回転した)
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