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「本当にあるの?」
「あるよ」
自信満々で飾はいう。
「でもさ、本当にやるの? 悪い幽霊退治なんてさ」
「だってせっかく幽霊を見たり聞いたり触ったり、おしゃべりできたりするんだから、それは私のやるべきことだと思うんだ。きっと。宿題とかじゃなくてね」と(じっさいに飾をつかって、見たり、聞いたり、触ったり、おしゃべりしたり、というまねをしながら)霰は言う。
まあ、宿題はちゃんとやったほうがいいと思うけどね。と思いながら「なるほどね。まあ、わからなくもないかな」と飾は言う。
「でしょ? でしょ?」(子犬のように見えない尻尾をふりながら)霰は言う。
さて、どうしよう? このままほおっておいたらきっと霰は一人でも悪い幽霊退治に挑戦すると思う。だから、しょうがないな、と思いながら飾は霰の悪い幽霊退治のお手伝いをすることにした。
「だから、まあ悪い幽霊退治のことならぼくに任せておいてよ。まずは、そうだな……。悪い幽霊ってそもそもどんな幽霊のことをいうのか、わかる?」
「悪いんだから、よくないことをする幽霊のこと」霰は言う。
「たとえばどんなこと?」
どんなこと、と飾に言われて霰は考える。
「うーん。いたずらしたり、邪魔をしたり、悪口をいったり、……あとはものを隠したり、怪我をさせたりとかかな?」
「なるほど。そういうことをする幽霊は確かに悪いか悪くないかで言えば、悪い幽霊になると思う。でもね、霰。本当の悪い幽霊っていうのはそういう幽霊のことじゃないんだよ」と飾は言う。
「じゃあ、どんな幽霊が悪い幽霊なの?」
「……人を呪い殺す幽霊」
と霰を怖がらせるようにして、怖い顔をして飾は言った。(季節外れの冷たい風が吹いて、霰はその小さな体を一度、ぶるっと震わせた)
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