48
それからすぐに今度はおしりのところからぴょんと猫のしっぽがはえてきた。(まるで昨日の霰のまんまだと思った)
それからその猫のしっぽがたったかと思うと、ふらふらと空中で左右にゆれる。
幽霊の女の子はずっと自動販売機を見ている。
「……もしかして、ジュース飲みたいの?」
「別に飲みたくない」
「本当に?」
「……うん。本当」
「ジュース買ってあげようか?」
「え? お金持ってるの?」
幽霊の女の子の耳がぴくぴくと動いている。しっぽは揺れている。幽霊の女の子はちらちらと飾を見る。
飾は霰からおこずかいをもらってすこしだけお金をもっていた。(お金持ってないといったらなにかあるかもしれないから、と少しだけおこずかいをくれた)飾は翡翠色のワンピースのポケットからがまぐちの財布をとりだすと中身を確認してみる。そこには五百円はいっている。
「ぼくも喉乾いちゃった。ぼくもなにか飲むからさ、買ってあげるよ。自動販売機のところまでいこう」
そう言って飾は幽霊の女の子の手をにぎると、そのまま一緒に自動販売機のところまで行った。(幽霊の女の子は嫌がったりはしなかった)
自動販売機の種類はけっこうたくさんあった。悩んだのだけど、飾はミルクコーヒーを飲むことにした。幽霊の女の子にどれが飲みたいと聞くと幽霊の女の子は「オレンジジュース」とオレンジジュースを指さして言った。
飾は五百円でミルクコーヒーとオレンジジュースを買うと、オレンジジュースを「ほら。飲みなよ」と言って幽霊の女の子に手渡した。
ベンチに戻って、一緒にジュースを飲む。ミルクコーヒーは甘くてとてもおいしかった。
「ありがとう」とオレンジジュースを飲みながら、小さな声で幽霊の女の子は言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます