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 飾は幽霊の女の子を見る。

 どうやらこの女の子は悪い幽霊ではないらしい。(霰を呪っている動物霊の猫とは違う幽霊のようだった)

「君はさ、霰の呪いについてなにかしっている?」飾は言う。

「呪い?」と顔をかたむけて幽霊の女の子は言う。

「そう。動物霊の呪い」

「霰は呪いにはかかっていないよ」となにいっているの? とでも言いたげな顔をして幽霊の女の子は言った。

「呪いにかかっていない?」幽霊の女の子はそうだよとでも言いたげにうなずく。

 呪われていない? どういうことだろう? 霰のあの状態はどう見ても動物霊に呪われていたと思うんだけど……。

「きみさ、もしかして、なにか知っているの? 霰についてさ」

「うん。知っている」と幽霊の女の子は言う。

「なにを知っているの?」

「うん。守ってる」

「守っている?」今度は飾が顔をかたむける。

 守っている。守っている。……。守ってる。その言葉を頭の中で言いながら、もう一度幽霊の女の子の様子をあらためてじっと観察する。

 そして、すこししてようやく飾はこの自分の前でオレンジジュースを飲んでいる幽霊の女の子の正体がわかった。(そして、自分が霰の状態について勘違いをしていたことにも同時に気が付いた)

「きみは……。『霰の守護霊』なの?」と飾は言う。

「うん。そうだよ」とこくこくと小さくうなずきながら、幽霊の女の子は言った。(両足をぶらぶらとしながら、幽霊の女の子はしっぽを左右に動かしている)

 飾は二人分の空き缶をゴミ箱に捨てる。

 それからベンチに戻ると、飾は「あのさ、霰に会えるかな?」と幽霊の女の子に言った。

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