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「さあ、帰ろう。霰。二人で一緒にさ。みんなのところに帰ろう」とにっこりと笑って飾は言った。

「みんなのことろに?」霰は言う。(でも、やぱっり声はきこえないようだった)

「霰。ぼくの手に君の手をかさねて」飾はそう言って自分の手をそっと霰の前に差し出した。

「うん。わかった」まるで(仲直りの)握手をするように霰はその飾の手をしかkりとにぎりしめる。(ようにする)

「どう? にぎった?」飾は言う。「にぎったよ。しっかりとにぎった」と霰はいう。

 それから少しの間時間をおいてから、「よし。じゃあ、いくよ。霰。そのまま目をとじて」と飾は言った。霰は言うとおりにする。

「霰。想像してみて。自分の帰る場所のことを。霰。思い出してみて。自分の愛している人たちのことを。……霰。忘れないで。君のことを大切に思っている人たちがこの世界にはたくさん、たくさんいるってことを。それは今まで君が出会ってきたたくさんの人たちがいて、それから、これから君が出会っていくたくさんの人たちがいるってことを。忘れないでほしい。霰。君はね。ちゃんと愛されている。愛されているんだよ」

 霰は飾の言うとおりにする。(なんだか胸の奥があったかい気持ちになった)

「……霰。目をあけて」

 霰はゆっくりと目を開ける。するとそこには飾がいる。泣いている飾。でも、なんだかすごくうれしそうな顔をしている飾がいた。

「……霰。ありがとう。なんだかひさしぶりにさ、みんなのことを思い出すことができた。本当にありがとう。全部さ、霰のおかげだね。本当に、ほんとうに、……どうもありがとう」と飾は言った。

 二人の涙が落ちて(飾にそんなことを言われて、霰はもらい泣きをしてしまった)大地が光る。その光はこんどはだんだんと大きくなっていった。その不思議なあったかい光は二人の体を包み込むように大きくなった。

 帰ろう、と霰は思った。飾と一緒に、いつもの平凡で退屈だけど、とても幸せな、楽しい時間のある、いつもの自分たちの世界に私たちは帰れるんだと思った。(なんだか、不思議と体から力がぬけて、すごく眠くなってしまった)

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