51
幽霊の女の子には木蔭(こかげ)という名前をつけることにした。
木蔭にしたいといったのは霰でどうやら小さな子供のころに短い間、猫を飼っていたのだけど、そのとき本当は木蔭と名前をつけたかったのだけど、その名前を猫につけることができなかったのだそうだ。(そのことを霰はずっと後悔していた)
「木蔭でいい?」と霰がいうと「うん」と木蔭は嬉しそうな声でそう言った。
それでこの幽霊の女の子の名前は木蔭になった。木立木蔭だ。(私の守護霊なんだから家族と一緒だよ、と霰が言って木立になった)
霰と木蔭。
二人とも動物の猫の耳としっぽがはえている。(霰にいたっては猫のひげまではえている)
そんな二人にはさまれるようにして座っていると、なんだか少し恥ずかしい気持ちに飾はなった。
「じゃあ結果からまとめると霰の動物化の原因は動物霊の呪いじゃなくて木陰がやったことなんだね」
「うん。そうだよ」と木陰は言う。
「なぜこんなことをしたかと言うと、幽霊と触れ合ったせいで霰の体に良くないことが起きると木陰が感じたから、その良くないことを起こさせないために、先回りして霰の体を守ろうとした。そのせいで霰の体は動物化してしまったと、そう言うことだね」
「うん」と木陰は言った。
聞いてみればなんとも人騒がせな話だった。結局動物霊の呪いではなかったから良かったのだけど、それなら最初にきちんとこの姿で出てきて説明してくれればいいのに。と飾は思った。でも、そこには飾の知らない守護霊なりの決まりごとのようなものがあるのかもしれない。(それは幽霊の飾にもよく理解できた)
安心している飾の前では霰が飾越しに木陰にちょっかいを出している。(木陰は照れている)なんだかこうしてみると二人は本当の仲の良い姉妹のように見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます