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今日はまだここにいたほうがいい。と木陰が言ったので、霰は飾と木陰と一緒に公園の中をお散歩することにした。
「手をつなぎたい」と木陰が霰に言ったので霰は木陰と手をつないで歩いていた。飾に「飾もつなぐ?」と言ったのだけど「ぼくはいいよ」と言って断られてしまった。(照れていたのかもしれない)
「いつまでここにいればいいの? 木陰」
「夕方くらいまでだよ」と木陰は言った。
「飾もそれでいい?」
「いいよ。できればどこかでお昼寝がしたい」と大きなあくびをしながら飾は言った。
「その猫の耳としっぽとひげはいつまであるの? しばらくしたら消えるものなの?」飾が言う。
「うん。消える。最初は体が慣れてないから耳やしっぽが出ちゃっただけ。時間がたては元に戻る」木陰は言った。
「そうなんだ。ようやく耳の動かしかたとかしっぽの動かしかたとか慣れてきたのに残念だな」と悪い症状じゃないとわかって心に余裕が出てきたのでそんなことを霰は言った。
「木陰の耳としっぽは元からなの?」
「うん。もとから」と霰を見て木陰は(耳としっぽを動かして)言った。
真っ暗な夜の底で、ぼくは君と出会った。
その場所では空想することしか楽しいことはなかった。本当はありもしないものを空想して、世界にいろんな綺麗な色を塗っていた。楽しかったけど、それは一瞬のことで、すぐにまたなにもない真っ暗な夜の底にぼくはいた。ずっとずっとそんなところで暮らしていたのだ。(……むかしからずっと、今も、そしてきっと、……これからも)
光が欲しかった。光を見てみたかった。少しでもいい。一瞬でもいいから、空想ではない本当の光の中で、生きてみたかったんだ。
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