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 霰はしょんぼりしている。(思ったよりもお兄ちゃんが普通に同い年の女の子と話していたのでショックをうけているのかもしれない)さっきまでならそんな霰のことをからかうか、あるいはなぐさめてあげようか、悩む飾だったけど、今はそんなことを悩んでいる場合ではなかった。

 霰の気持ちを表現するように、霰の頭の上にある動物の音の耳はぺたんと垂れ下がり、動物の猫のしっぽも元気なくぺたんとベットの上に垂れていた。

 霰はなにもいわない。飾もなにも言わずに、じっと霰の姿を観察している。

「飾。なにかいってよ」と下を向いたまま霰は言った。

「うん。霰。ちょっとたってみてよ」と(じーっとあごに手をあてて、霰を見ながら)飾は言った。

 霰は言われた通りに力なく立ち上がる。

「そのままゆっくりくるりと一回転してみて」

 霰は言われた通りにその場所でゆっくりと一回転する。

 飾は霰の全身をよく見たけど、今のところは猫耳としっぽ以外に霰の体に変なところはないようだった。

 霰の部屋にはちゃんと大きな鏡があった。なので飾は「霰。鏡の前に立ってみて」と言った。

 霰は言われた通りに鏡の前にたって自分の姿を見る。

 そして鏡に映っている自分の頭の上にぺたんとなっている変なものをみつけて、それを不思議そうにさわった。その様子を見て、飾は、あの猫耳は霰にはちゃんと見えているんだ、と思った。

 霰はじーっと鏡の前に座り込むと顔を近づけて自分の猫耳をさわっている。その猫耳がぴょんと立ち上がって霰の目が大きくなったかと思うと霰は「え!!ーーーーー」とびっくりするくらい大きな声をだして叫んだ。

 するとすぐに隣の部屋から樹と奈緒が霰の部屋にやってきて、どんどんと霰の部屋のドアをノックした。

「霰。すごい声がしたけど、なにかあったの?」

「霰ちゃん。どうしたの!? なにかあったの!?」

 と樹と奈緒の声が聞こえた。

「なんでもない! なんでもない! ごめんなさい、お兄ちゃん。八坂さん。ちょっと、えっと、やらなきゃいけない宿題が残っているのを思い出して、それで思わず大きな声をだしちゃっただけなんだよ」と(慌ててドアに両手を振りながら)霰は言った。

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