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 八坂奈緒は洛南中学校陸上部の部員の一人で陸上部のエースである。(県大会で優勝したりしていた。補欠の樹とは大違いだった)顔もかわいくて、(猫ににているとよくいわれていた)背も高く、陸上の成績もあり洛南中学校の中でも結構有名な生徒だった。

 そんな奈緒はずっと前から木立樹のことが大好きだった。(奈緒が陸上部に入ったのも、樹が陸上部にはいったからだった)

 そのことを教室のみんなは知っている。(全員というわけではないけど、有名だった)でも、樹は知らなかった。なぜなら樹はどんかんでばかだからだ。(しかも、いつも小学生の妹のことばかり気にしている)

 友達に協力してもらって、四人で水族館にいってダブルデートをしたこともある。その目的は奈緒の告白だった。でも、作戦は失敗してしまった。友達には協力してもらったのに、奈緒は告白することができなかった。(恥ずかしかったからだ。あと、断られたらと思うとすごく怖かったからだった。樹に告白をことわられたら、もう生きてはいけないと思った)

 それが一年生の夏休みの一番の思い出だった。今となっては、まあいい思い出だった。(一緒の写真もとれたし、いまも大切にしている)

 奈緒は走る。

 樹は自転車に乗っているけど、相手じゃない。ぜんぜんすぐに追いつける。そして奈緒の予測の通りに奈緒はすぐに樹に追いついた。

「どこにいくの?」走りながら奈緒は言う。

「僕にもわからない」自転車をこぎながら樹は言う。

「わからないのに、一生懸命走っているの?」

「そうだよ。でもわかっていることもある。僕は絶対にあきらめちゃいけないってこと」と奈緒を見て笑いながら樹は言った。(そんな樹の言葉をきいて、あいかわらず変な奴だなと奈緒は思った)

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