13
霰はどこかぼんやりとしている。(心ここにあらずといったかんじだった)なんだか思った以上につかれてしまった。どうやらこの変な力はとてもたくさんの体力を消耗するようだった。(なんだかすごくお腹もへってきた)
「ありがとう」
消えてしまった子猫のかわりのように、飾がいった。
今、霰は飾のふとももの上にそのあたまをのっけていた。(ひざまくらをしてもらっているのだ)
「きっとさ、みんな孤独なんだよ。生きているものはすべてね」
「孤独? ひとりぼっちってこと?」
「そうだよ。ひとりぼっち。それはどこか宇宙で光っている綺麗な星ににているね」
「星に似ている」
霰は空を見る。でも、そこには神社の古びた屋根しか見えなかった。
「宇宙に光る星のように。ぼくたちの距離が離れている。近くに見えても本当はとっても遠い場所にいる。届かない場所にいる」
「私は飾にふれることがちゃんとできるよ。ほら」証拠を見せるようにして霰は飾の手を触った。そこにはたしかに飾の手の感触があった。
「肉体にさわることはできる。でも心はそうじゃない。とっても遠いところにある」
飾はそういいながらも、しっかりと霰の手をちゃんと握り返してくれる。(うれしかった)
「星と星の距離くらい離れている」
「そうだね。それくらいは離れている。地球と月くらい離れてる。あるいはもっとかもしれない」
「なんだかとてもかなしいね」霰の中にはまだあの子の悲しみが残っているのかもしれない。なんだか霰はまた(あれだけ泣いたのに)少しだけ泣きそうになってしまった。
「でもね。ひとりっぼちなだけじゃないんだよ。ちゃんとこのお話には悲しいだけじゃなくてうれしい話もちゃんとある」
「それはなに?」ぱっと大きく目を開いて霰はいう。
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