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「あのさ、飾。あの幽霊の黒猫はどこにいったのかな? あの猫ちゃんにさ、もう一度会ってお礼がいいたいからなんとなくいつも探しているんだけど、どこにもいないんだよね。飾は猫ちゃんがどこにいるか知らない?」と(木のスプーンを使って)アイスクリームを食べながら霰が言う。
二人は東雲神社の古い木の階段のところにすわってお話をしている。
すると飾はくすくすと笑って、「霰。幽霊の黒猫なんてさ、最初からどこにもいないんだよ」と(いたずらっ子の顔をしながら)言った。
そんな飾の言葉を聞いて、霰は(変な顔をしながら)ちいさくその顔を斜めにした。
あるときこんな空想を霰はした。
私が中学生になると、飾も中学生になった。
私が高校生になると飾も高校生になった。
そんな風に私たちは一緒に成長していって、いつも一緒にいて、一緒にちゃんとした大人になった。
そんな少し悲しい空想だった。
実際には飾がそんな風に霰と一緒に大きくなることはなかった。幽霊の飾はずっと十二歳のときのままだからだ。
霰は思う。
私たちはいつまで一緒にいられるんだろうって。(今度飾に聞いてみようかな?)
霰は飾についてなにも知らなかった。だから知りたいと思った。でも自分からいろいろと飾に聞くのはやめようと思った。話してくれるときがくれば、きっと飾から話してくれるだろうと思った。だからいろんなことを聞くことはやめるのとにした。(飾も嫌がるだろうと思った)
「死ってさ、いったいなんだろうね?」
いつもの放課後の時間。いつものように東雲神社でいつものたわいもないお話をして探しているとそんなことをふいに霰は言った。(まるでなんでもない漫画やアニメのもしくは欲しい洋服のお話でもするように自然と霰はそんなことを言った)
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