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「ちょっと、飾! しっぽばっかりさわらないでよ。変な感じがするんだから!」と自分の耳としっぽをぴんと立てて霰が言った。
「じっとしててよ。とりあえずどんな様子なのか確認しないといけないんだからさ」とさっきからずっと霰のしっぽを触り続けている飾がいった。
「それ本当? たださわりたいだけなんじゃなくて?」と怒りながら霰はいう。
「そんなわけないでしょ? ほら、じっとして」と言って飾はしっぽをまたさわった。
そうやって(嫌がる霰をあしらいながら)しっぽをさわったあとで、今度は飾は霰の猫の耳をさわりはじめた。
「くすぐったいよ」と嫌な顔をしてじっとしている(じっとしてと言われた)霰は言う。
「もう少しだから、我慢して」真剣な顔で霰の耳をさわっている飾は言う。
それからしばらくの間、そんなことをしてから「よし。もういいよ。霰」と言って飾はようやく霰から離れた。
「私、もうお嫁にいけない気がする」と顔を赤くしている霰はいう。
「そんなわけないでしょ? それよりもなんとか今の霰におこっている変な現象の正体をつきとめないとさ。これからどうしようもないでしょ?」と飾は言った。
さいわいなことにこの動物の猫の耳としっぽは幽霊と同じように、幽霊がみえる霰やもともと幽霊の飾にしか見えていないようだったので、普通に生活をするぶんにはなにも問題はないようだった。問題はこの変な現象がいつまでつづくのか、あるいは耳、しっぽと動物のぶぶんがだんだんとふえたように、『これからこの変な現象は悪化していくか、どうか』ということだった。
飾は今のだんかいでこの変な現象はなにもしないでいると、悪化すると思っていた。なんとなくだけど、この変な現象は飾の知識の中では『動物霊による呪い』の現象とよくにていた。調べてみないと絶対とはいえないけれど、おそらく霰は猫の動物霊に呪われたのだと飾は思っていた。
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