第40話 人造

 王城に帰還したフォカプは王にその旅の報告をしていた。場所はいつもの王座がある部屋、ではなくなにやら奇妙な実験が行われている部屋である。


 「────終わった。魔王も、その他のひとも、ころした。」


 「ふむ、よくやった。二号」


 そう返す王に対し、若干不快そうな顔をするフォカプ。


 「……二号、じゃない。フォカプ」


 「………そうか、まあいい。下がれ」


 その言葉を受けフォカプが部屋から出ていくと、今度はいかにも怪しげな雰囲気をまとう不健康そうな学者風の男が現れる。


 「王よ、これで後は四天王を殺しきれれば怖いものは無しですな」


 「………ああ、しかし二号の忠誠心………あれはもっとどうにかならんのか?」


 「仕方ありませんよ。確実に魔王を屠るために一号と二号は魔王への恨みを高く設定したので………」


 そう説明を受けた王は軽くため息をつく。


 「煩わしいなら殺しますか?二号が持ち帰った魔王の死体の一部を使えばじきに五号もできるでしょう。一人ぐらい消しても四天王討伐に問題はないのでは?」


 「いや、やめておこう。ただでさえ一号を失ってしまっているのだ。この程度で一人殺すわけにもいかんだろう。この、のせっかくの成功例だ。余すことなく使いつぶそう。」



 「人造特級計画二号・人造賢者フォカプ………ね。感情などつけるからこのようなことが起こるのではないか?道具のようにただ命令に従う傀儡にすればいいだろう」


 「いえ、そういうわけにもいかないのです。やはり感情というピースがあった方が成長の可能性が……」


 「いや、理由があるならばいい。」






 ※





 「で、姉さん。さっそく王都に行くの?」


 「そうね……時間をかければかけるほど罪のない人が傷つく可能性が増えるからね」


 「了解」


 とりあえず王都に移動することを決定した私たちはさっそく移動を開始する。


 「というか、フォカプはなんで私たちを殺したんだろう……?」


 「フォカプ……?」


 「うん、賢者フォカプ。今回の魔王討伐パーティーの一人だったんだけど、急に攻撃してきたんだよね……」


 「そう、裏切りを……」


 「まあ、次直接あった時に問いただせばいいか……」


 「えぇ……裏切ったのに素直に答えるかなぁ?」


 「答えるまで聞くんだよ。それより早く出発しよう」


 何とも言えない顔をしている姉さんを急かしてさっさと王都に向けて出発する。


 「そういえば、結局私たちはどういうスタンスでいればいいの?隠れる?普通に王都に帰る?というか、姉さんの王が悪いっていうのは何が根拠なの?」


 「まあ、とりあえずこそこそ行けばいいんじゃないかな?王の件は魔王さんに聞いて、ほかの魔族何人かの証言もあるよ」


 「へ~」


 「……本当はあんまり興味ない?」


 なぜバレたし。とりあえず姉さんと話をしたかったんだよ。

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