第43話 セイギの
「えーと、どうする?」
フォカプが見えなくなったあたりで私は質問を投げかける。
「……………王城を攻めまよう。今すぐに。」
以外にも私の質問に対してこう返したのは姉さんだった。少し前まで派手な方法を渋っていただけに少し驚いた。
「え……いいの?」
「うん。こうなった以上もう攻め入ってしまうのが一番でしょ。申し訳ないけど多少の人を犠牲にしてでもその他の人たちを救わないと」
なるほど、どうやらイレギュラーな事態が起こったせいで姉さんの正義の天秤が傾いたらしい。
「で、エレインはどうする?私は姉さんと一緒に王城を攻撃するけど」
「私も行きます。というか、ニョーラちゃんが心配なのでそろそろ何か行動を起こしたいと思っていたところでした。」
こうして私たち聖女三人による王城の襲撃が決定した。……今更だけどこれって国家反逆罪だよね?大丈夫?成功しても失敗してもろくなことにならないのでは……?いや、姉さんはそれも許容しそうだな。自分たちが犠牲になってより多くの人の命を……………的な?というか、王様が死んだら誰がこの国を治めるの?王子がいたんだったっけ?なら王子は生かしておかないといけないのかな?
「で、攻めるといっても具体的には?」
「うん、今から行こうと思う。」
「「……………え?」」
今から?え、何を?
「攻撃が決まったなら早い方がいいからね。」
あ、はい。わかりました……。おらエレインちゃん。そんな顔してないでさっさと行くんだよ。
着いた。着いてしまった。私たち三人は今王城の前にいる。うん、もう仕方ない。やろう。冷静に考えたら私たちは諸悪の根源(ほぼ確定)の王様を倒すわけだし……魔王討伐と同じように考えればなんとか……………いや大分メンバーの偏った勇者パーティーだな。聖女三人て……
「ところで姉さん。ここまでずんずん歩いてきた姉さんについてきたわけだけど、具体的にどうするの?」
「そうだね、とりあえず……ほいっ」
そんな掛け声とともに王城の周りにドーム状の巨大な結界が出現した。
「この中にいる人に限り、殺害をしていいことにしよう。人類と魔族の命を救うためには必要な犠牲だ。悲しいけど仕方ない」
「なんか………フレイヤさん急に考え方変わりましたね?何というか……急に割り切りだしたというか」
少し驚きながらそんなことを言うエレイン。いやまあ、その驚きももっともだ。というか、私もちょっとついていけない時がある。
「慣れだよ、エレイン。姉さんは正義関係の天秤がちょっと歪んでるから。」
「そもそも命を天秤で測ること自体が間違っているのでは?」
「何が正しい、正しくないかなんて今はどうでもいいと思わないかい?」
そんなこと会話を繰り広げていると、ついに姉さんが王城の正門に向けて歩き出した。というか、正門から入るんだ。当然門兵がそれを止めようとし……あ、兵士が投げ飛ばされた。そのまま門を破壊して侵入していった……。
「あれ?リリーちゃん。乗り込まずに外から攻撃するんじゃなかったっけ?」
「うん、そうだったと思うけど……変えたんじゃない?」
「えぇ……あなたたち姉妹は本当に自分たちが何をやっているのか理解できてる?」
「正義の行い」
そう、セイギのおこない。
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