第42話 困惑
「と、いうことで。新しい仲間のエレインちゃんです。」
早速王都での拠点……いや、放棄されていたぼろい小屋で姉さんに路地裏で拾った聖女エレインを紹介する。
「あ、はい。よろしくおねがいします」
「うん。よろしくね。エレインちゃん」
うーん、私が言うのもなんだけど姉さんはいきなり信用しすぎじゃないか?急に連れてきた人をそんなにすぐ受け入れるものなのか?それとも実は警戒しているのか?いや、私がひねくれている可能性も……?
「さて、じゃあ作戦会議をしようか。三人寄ればなんとやらだ、エレインちゃん何かいい案とか出てこない?」
「いい案、ですか………三人で正門から王城に乗り込んで制圧……とか?」
「却下」
そもそも私たち編成が偏りすぎなんだよな。なんだよ聖女三人って……。聖女舐めてんのか?基本的に回復と結界がメインの職業なんだが………いや、そうでもないな。火力だそうと思えばでるね。
「もういっそ、王城を結界で閉じ込めて三人でローテーションしながら結界を維持しつつ適度に攻撃系の聖術ぶち込むとかでいいんじゃない?」
「だ、だめですよ!!ニョーラちゃんも危ないじゃないですか!!」
「そうだね。王城の人間全員殺すのはさすがに……」
せっかく意見を出したのだが、びっくりするぐらい却下された。
「じゃあもう無理じゃん。そもそもこんな戦力で仮にも一国の王を殺害するってのに方法まで考えるのはちょっと無理があるんじゃない?」
「むぅ……確かにそうですが……」
「いや、でもやっぱりできるだけ人の命は大切に……」
「たしかに、むり……ある………」
そんな感じで三者三様の答えが返ってきたのだが………ん?三者?姉さんと、エレインと………あと誰?そこまで考えて声のした方に視線をやる。
「………え?」
………ふむ。私は疲れているのか?私たちを裏切って殺そうとした………というか一度殺した賢者フォカプがいるように見えるのだが………うん気のせいじゃないなこれ!?まずいぞ、いやまずくないわけがない!
急いで飛びのいて構える私にワンテンポ遅れて姉さんとエレインも距離をとる。
「ど、どなたですか……?」
「賢者フォカプ、前回の魔王討伐パーティーのメンバーを裏切って皆殺しにしたやつだよ」
面識がなかったのかそんな疑問の声を上げるエレインに軽く説明をする。
「はえ~皆殺しに………え?」
エレインのきれいな二度見に触れる暇もなく問いかける。
「で、何しに来たのフォカプ。私を殺しに来た?言っとくけど三対一で勝てるほど私たちは弱くないけど?」
「わかって、る。……………おうさまを、ころすんでしょ?協力、しようかとおもって」
わあすごい。全く信用できなーい。
「え、本気で言ってるの?そんなの私たちが信用して仲間に加えるとでも本気で思ってるの?」
「いや、おもってない。いってみた、だけ……………じゃあね」
「……え?」
それだけ言うとどこかに行ってしまうフォカプ。これは追うべきか?いやでも戦闘になると間違いなく王側に捕捉されるし……いやいやフォカプが王側だった場合どちらにせよバレて……………わからん。姉さんに視線を向けると姉さんも凄まじく困惑してる様子だった。
「えぇ……」
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