第51話 城爆破男
「さてと……」
そうつぶやき、城爆破男に相対する。今からこいつを相手にして少なくともフォカプが人造聖女を倒すまで耐えなければならないわけだ。フォカプがどの程度できて、どれくらいの時間があれば人造聖女に勝てるのかなどまだ測りかねているが、凱旋天門下で負けるほど弱くはないことはわかっている。となれば……。
『神想封過!!』
いつもの黄金コンボの初撃は当然のように躱される。嫌になるねこれは。相手が射出した複数の魔力の槍を回避する──ところまではよかったのだが、槍とともに爆破男も私に接近してきた。目の前に着弾した槍の爆風を突っ切って男が肉薄してくる。
「チッ!」
思わず舌打ちが出てしまった。どうやら接近戦に持ち込むつもりらしい。ということは、この男は接近戦もそれなりにできるのだろう。もしやそっちが本職だったりするのだろうか。どちらにせよ、凱旋天門の影響下とはいえそれなりに素早く動くことのできるこの男と接近戦をするのはあまりにも私が不利だ。
『聖炎k───』
ダメだ間に合わない。とっさに男の拳を体をひねって避ける。間髪入れずに放たれた蹴り上げを後ろに飛んで避けようとするが間に合わず、腹にもろに食らってしまう。
「が、っは!」
2メートルほど打ち上げられる。すごく痛い。凱旋天門の影響下で、直前に少し後ろに飛んでこのダメージって、どうなってるんだよすごく痛い!
男も私が着地するまで待っていてくれるはずもなく、飛び上がって追撃を加えようとする。今から特級聖術を使うのでは間に合わない。
「っづ、あああ!」
上級聖術の結界を展開する。結界が殴られる。結界が割られる。なんでだよ!ほんとにバフとデバフかかってんのかこれ?だが拳の勢いは殺した。位置関係的に私の方がワンテンポ早く着地できる。というかもう着地できた。よし一旦距離をとって──まずい!
相手が空中でお得意の魔力の槍を複数射出する。必死に横に転がり直撃は避けるが、爆風で少し飛ばされる。急いで体勢を立て直すと目の前には男がいて。
「近づく……なッ!!」
上級攻撃聖術を打ち込む。至近距離で当てたためか、それなりに傷をつけることはできたが怯まないのなら意味はない!!
「っが…!」
殴られて吹っ飛ぶ。何なんだよこの男は、急に城を爆破して出現したのも意味不明だし、何よりも強すぎるだろ!そもそも何で攻撃され始めたんだったか私は……王城を攻撃したから?ああ……クソッ。
「舐める……なッ!!」
上級聖術の結界を二重に展開する。さっきの攻防から考えて、凱旋天門下ではそれなりの意味はあることはわかっている。凱旋天門なし?考えたくないね。またまた距離を詰めてきていた男が結界を破壊するが、さっきの倍の量の結界に多少手間取る。三秒は稼げた。ならばッ……!
『聖炎華ッ!!』
広範囲攻撃の特級聖術。街への影響は姉さんが抑えてくれるだろう。結界の強度維持に魔力を使いすぎて魔力切れになった姉さんが結界を維持できなくなる可能性もあるが、そうなれば姉さんにできることはないのだし、逃げる口実になる!逃げれるかは知らん!!
「っぐ……!」
さすがは特級攻撃系聖術。この戦闘で初めて苦悶の表情を見せた男を見るに多少のダメージは受けてくれたようだ。そして結界はまだ残っている。姉さん凄い!
姉さんはすごいのだが……。
「はあっ……はっ………」
私の魔力も底が見えてきた。流石に頑張りすぎたか。ちょっとまずいぞ………フォカプはまだか?
体勢を立て直した男が私との距離を詰めようと動き出して
ドンッ
攻撃系の魔術が着弾した。
「お待たせ………りりー」
「待ってたよ……。」
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