第47話 助っ人

 「………え?」


 急に内側から爆発した王城に驚いたのは私だけではないようで、姉さんはもちろんエルナのそっくりさんも驚き王城の方に目をやっている。そしてその半分ほどが消し飛んでしまった王城の瓦礫と土煙の中から現れたのは───


 「誰?」


 見たことのないような男だった。いやよく考えれば知らないのは当然だな。私はあまり外に出ないし、交友関係が広いわけでもない。むしろ今までの知り合いに似ていたり、友達の友達だったりと薄いながらも関りがあったのがおかしいのだ。いや、しかしこの男……すごく強いな。魔王ほどではないがそれに近い。王城を破壊しながら現れたということは味方なのだろうか?それとも敵?そんなことを考えていると男と目が合う。男は手に漆黒の槍のようなものを作り出し、こちらに投げ───


 「おっけー、敵だ!!!」


 全力でバックステップを踏み回避する。槍が着弾した地面が爆発しているのを見ながら姉さんに近づく。


 「新手が来たけど………逃げる?あの二人を相手にするのはさすがに厳しそうじゃない?」


 「いや、逃げないよ。相手の目的がわからない以上ここで逃げると民間の人たちが心配だからね」


 ダメだこれは。というか、さっきから予想外が過ぎる。特級職一人くらいはいるかもしれないな~、とか考えていたのになんで特級相当が三人も王城にいるんだよ。意味が分からん。ここは魔王城か何かなのだろうか。とういうかこれは相当まずい。姉さんに退く気がないのが何よりもまずい。とりあえず話し合いに持ち込むことはできないだろうか?やはり我ら人類たるもの文化的に話し合いで解決するべきだろう。


 「あの!君たちの目的って何だい?もしかして私たちが急に王城を襲ったから賊か何かだと思ってる?それは勘違いなんだ!!」


 ヒュンっと槍が飛んでくる。話を聞く気がないですかそうですか。


 「野蛮人め!!!」


 こうなれば仕方ない。倒そう。………いや倒せるか?エレインは……まだなんだか呆然としてる。まずいな……推定ニョーラ氏を倒してしまった手前すごく話しかけずらいぞ………。


 「ッ!」


 またまた爆発するやりが飛んできたのを避けた。大きくバックステップを踏み、着地点に人造聖女から攻撃が飛んできて……


 「やっぱ、そこ2人は味方同士ですよねー」


 フィジカルで無理やりどうにかしようと思って気づく。凱旋天門のバフの出力が落ちている。……違う!一つ分のバフしかかかってないのだ。私は術を解いていない、となると……姉さんの方に目を向けると案の定魔力が少ないようで少し苦しそうにしていた。凱旋天門を解除して王城周りの結界の維持に全力を注ぐようだ。


 「やっばい!」


 これは当たると考えた私は自分にかけるために回復の聖術の準備をしていたのだが、その必要はなくなった。


 私の背後から飛んできた術によって人造聖女の攻撃が相殺されたからだ。もしやエレインが復活したのか?という希望交じりの思考に一瞬至ったが、飛んできた技が明らかに聖術由来のものでなく、もっと言ってしまえば魔術寄りだったことに思い至りその思考を霧散させる。ならばいったい誰が。


 「うん……せいじょ、りりー……手伝おう、か?」


 私が背後を振り返ると、賢者フォカプが立っていた。

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