第27話 悩みの種

 さて、魔王討伐というものには割と形式化された順序というやつがある。魔族の領域の割と中心付近にそびえ立っているのが魔王城であり、そこに魔王はいる。らしい。私は行ったことがないから知らないけれど。そして魔物の領域の端っこと魔王城のちょうど真ん中ぐらいの距離に魔王城を囲むかのように四天王の住処がある。魔王との戦いの途中に四天王に参戦されないよう、割と奇襲に近い形で四天王を殺しては逃げ、殺しては逃げして数を減らし、最後に魔王に挑む。というものだ。


 ところで、今回はその四天王の三人がすでに欠けている。そのためさっさと魔王城に攻め入り、魔王を倒してしまおうというのが今回の方針として決まった。決まって旅に出たまではよかったんだ。


 この旅が始まって何度目かの戦闘を終えた私は剣聖に話しかける。


 「ブレンク、悪いんだけどあまり先行するのはやめてくれないかな。ほら、私たちは三人後衛だし、剣聖の速度にはついていけないんだ。」


 するとブレンクは少し眉をひそめ


 「この程度の敵なら俺一人で十分だ。無理についてこなくてもいい。……それに、一緒に戦うとあの賢者の魔法が飛んでくる」


 ここでフォカプが会話に入ってくる。


 「報告は……してる。せんこう、しすぎて聞こえてないだけ」


 「お前の声が小さいんだろ、それに第一、支援など必要ないのに余計なことに魔力を使うな」


 私が攻撃系の聖術使うとき明らかに聞こえていたのに無視してよけなかったよな君?


 「よしわかった!ブレンク、君が優秀なことはよくわかったからチームプレイを心がけよう!それにフォカプ、味方がいるのに広範囲の魔法を使うのは無しだ。いいね?」




 「「……」」


 無視かよ。


 もうやだこいつら…………。なんで私が仲裁してるんだよ。というかせめてもっとコミュニケーションをとれよ、社会不適合かよ貴様ら。


 ここでもう一人のパーティーメンバーにも声をかける。


 「ルーズからもなんとか言っておくれよ」


 「別に喧嘩をしたければさせておけばいいんじゃない?それより私はお祈りしてくるから」


 もうやだこいつら(二回目)……。マジかよ、マジだよ。え、どうしよう。このペースだともう明日にでも魔王城に到達するんだけど……チームワークもくそもない状態で魔王に勝てるか?いや、無理でしょ。こいつら下手に優秀だから進行自体はかつてないほど順調なのがなおたちが悪い。


 とりあえず比較的話の通じるルーズはいいとしても、フォカプとブレンクのコミュニケーション取らないコンビを何とかしないと本格的にヤバイ。せめて話せよ!口ついてないのかよ!!





 「フォカプ、ブレンク!ルーズがお祈りを始めてしまったから今日はここで休もうか。このペースだと明日には魔王城に着くだろう。」


 おい、ブレンク。舌打ちをするな聞こえてるよ?気持ちはわかるが、お前はするなよ。私は君たち全員の行動に舌打ちしたい気分だよ!!

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