第56話訪問客

 2035年11月9日。

 小香シャオシャンが茨木童子を倒して1ヶ月経った。

 その間、小香シャオシャンは平穏に生活していた。この時の小香シャオシャンは、手下達を失った酒呑童子が1人で殺戮を繰り返しているのをよく耳にしていた。

 その度に、童子切安綱が少し震えているのを小香シャオシャンは見逃さなかった。


「また酒呑童子…。もういつになったら落ち着くのかしら…」

 ニュース番組を見ていた伊代がぼやいていた。

「そうだな…」

 虎太郎は相槌を打った。

 すると、虎太郎は小香シャオシャンを見て

小香シャオシャン、また危険な事に巻き込まれるなよ。この間の茨木童子を倒した時や他の酒呑童子の手下を倒した時も君がやったんだよね?酒呑童子なんて戦ったら…」

 と心配そうに助言したが、

「虎太郎先生、奴を倒せるのは私だけ。童子切安綱を持ってるのは私しかいないから」

 淡々と小香シャオシャンが言った。

「そうかもしれないけど」

 虎太郎はこれ以上何も言えなかった。


 小香シャオシャンしか酒呑童子を倒せない。童子切安綱を所持しているのは、小香シャオシャンだけだ。


 よく考えればわかる事であった。


 翌日、久保村家にお客が訪ねてきた。

小香シャオシャン!あなたにお客さんよ!」

 伊代に呼ばれ、小香シャオシャンが玄関に行くとそこには、山本五郎左衛門と神野悪五郎がいた。

「山本様…。神野様…」

 小香シャオシャンは茫然とした。

雷小香レイシャオシャン、久しいな」

 山本五郎左衛門が口を開いた。

 山本五郎左衛門と神野悪五郎は、今から2ヶ月前に小香シャオシャンが東京に行った事を京都の妖怪達から話を聞いて東京に向かい、東京を住処にしている妖怪達に小香シャオシャンの居場所を聞いて回り、今日に至った。

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