第31話金熊童子④

 金熊童子は、童子切安綱の切先を睨みつけた。

「こんなガキが使っているとは!クソっ!クソっ!クソっ!クソー!」

 突然、金熊童子は地団駄を踏み、周りにいた人間達は怯えた。

 小香シャオシャンは無表情で童子切安綱を金熊童子き近づけた。

「おい!小香シャオシャン!」

 悟雲が止めても小香シャオシャンは聞かなかった。

「下地狱吧。你这个混蛋(地獄に落ちろ。このクソ野郎が)」

 小香シャオシャンは刀を振り上げた。だが、金熊童子はそれをかわした。

 再び童子切安綱を振り上げたが、金熊童子は余裕でかわしてばかりだった。

 追い詰められた小香シャオシャンは、三昧の真火を使った。金熊童子は、こんな華奢な小香シャオシャンからあんな術が使える事を信じられないと思ったが、それでも小香シャオシャンを殺そうと試みたが、三昧の真火は金熊童子の体を焼き尽くそうとし、その隙に小香シャオシャンは、金熊童子の首を切った。

 周りは唖然とし、金熊童子の殺される姿を見ていた。やがて三昧の真火は消え、残っているのは金熊童子の首だけだった。だが、首も灰になり、消えた。

 小香シャオシャンはその場に腰を抜かして座り込んだ。

「やったんだ…私…」

 小香シャオシャンの元に駆け寄った悟雲達は頷いた。

 すると、小香シャオシャンは寝転がり

「よかった!」

と嬉し涙を流した。

「喜ぶのはまだ早いぞ。他に手下いるんだ」

 悟雲が呆れて言った。


 金熊童子が殺された事は、すぐに酒呑童子の耳に入った。酒呑童子は怒り狂い、

「小娘が生意気な!」

 近くにあった酒を呑み始めた。

「やけ酒だ!」

 酒呑童子が酒を呑んでいる横にいる新しい手下達に

「なぁ、お前達。宋から来たあの小娘をもっと虐めたいんだろ?なぁ?」

 新しい手下達はにんまり笑った。その手下達とは、希腊シーラ衛城ウェイチャン愛琴アイチンだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る