第30話金熊童子③

 2035年4月22日。

 小香シャオシャンは悟雲達と京都駅の近くで待ち合わせし、近くのカフェで話をしていたその時、5人は寒気がし、振り返ると1人の男がいた。男はイライラした様子で店員にクレームを言っていた。男は唯ならぬ雰囲気だった。

 すると、男は、店員を刃物のような爪で引っ掻いた。周りの客は救急車を呼び、店員は病院に運ばれた。男はその場から逃げ、その後を小香シャオシャン達は急いで会計をし、男を追いかけた。

 産寧坂まで男を追い詰めた小香シャオシャン達は攻撃する体勢になった。男は、高笑いすると皮膚が剥がれ、中から赤鬼の顔が現われた。正体は、酒呑童子の手下で大江山四天王の1人の金熊童子だった。

「やっぱりお前か!」

 小香シャオシャンが言うと

「気をつけろ!小香シャオシャン!」

 悟雲が注意した。

 金熊童子は、全速力で小香シャオシャン達のほうに向かって走ったが、小香シャオシャンは口から芭蕉扇を出し、芭蕉扇を大きくして仰ぐと金熊童子は転げ落ちたが、近くにいたベビーカーを引いた母親にぶつかりそうになり

「危ない!」

 八刑が叫び、

「行かな !」

 麗浄が大声を出した。

 八刑と麗浄はベビーカーと母親の元に走り、八刑が母親の手を引っ張り麗浄はベビーカーを引いてぶつからないような距離まで走った。

 その後、母親はお礼を言って逃げるように去った。

「麗浄!八刑!ありがとう!」

 玉蘭はお礼を行った。

 玉蘭の後から悟雲と小香シャオシャンが走って来た。

「お前らよくやった!」

 悟雲が言った。

 すると麗浄が悟雲と小香シャオシャンの後ろにいる何かに気付き

「悟雲、小香シャオシャン!後ろ!後ろに奴がおる!」

 悟雲と小香シャオシャンは後ろにいる金熊童子に気づいて避けた。

「お前ら!妖怪の臭いがする!殺してやる!」

 金熊童子が手を振り上げると悟雲が如意棒で弾いた。しかし、金熊童子はもう片方の手を振り上げたが、小香シャオシャンは隠し持っていた童子切安綱を出し、童子切安綱を抜くと力を込めて金熊童子の腕を切った。腕から血飛沫が飛び、坂は血の海と化した。怒った金熊童子は、童子切安綱を見ると

「あれは童子切安綱!儂等を殺した頼光の刀ではないか!なぜこんなガキが持ってんだ!」

 と叫んだ。

「譲り受けたんだよ」

 小香シャオシャンは答えた。

「私は牛魔王の孫の雷小香レイシャオシャンだ!」

 小香シャオシャンは見栄を切るように言った。

「牛魔王…。するとお前は宋から来たのか!?」

 金熊童子は怒りで震えていた。

「对了!(そうだ!)」

 小香シャオシャンは刀を金熊童子に向けた。

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