第50話茨木童子の話

 2035年9月14日。

 小香シャオシャンは、1週間前から上野にある寄席でアルバイトを始めた。

 今までの研究チームとは畑違いだったためか初日から3日までは戸惑う事ばかりだった。

 小香シャオシャンの仕事は寄席での接客で客の誘導や売店での販売、清掃を行っていた。

 上司や先輩は小香シャオシャンのような妖怪のハーフを雇うのは初めてだったようで少しに気にかけてる部分があった。

 小香シャオシャンもそれに気づいてた日々職場の人の期待に応えるようにしていた。

 そんな小香シャオシャンの努力を認めたか上司や先輩との人間関係は良好で、小香シャオシャンの噂は出演する噺家達の耳にも届き、小香シャオシャンは有名人となった。

 そんな中、小香シャオシャンが売店で接客しているとある噺家が

「やぁ!小香シャオシャン!元気か?」

「はい!おかげさまで!」

 そう他愛のない会話をしていると

小香シャオシャン、聞いた話なんだけど、酒呑童子の右腕のなんだっけ?…あ!思い出した!茨木童子だ!その茨木童子がよ、大阪で暴れてるらしいんだよ!」

 それを聞いた小香シャオシャンは目を見開いた。

「どうしたんだよ!そんな顔して」

「すみません。京都にいた時に酒呑童子の手下達と遭遇したので」

 小香シャオシャンは落ち着きを取り戻したが、倒した事を内密にしたいために嘘をついた。

「そうか。よく生きてこられたな!」

 そう言うと噺家は時計を見て出番がもうすぐだからと言って売店を去った。


 茨木童子が大阪に…。


 翌日、小香シャオシャンは職場に来月のシフトの連絡をし、来月大阪に行こうと決意した。

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