第26話産寧坂での阿鼻地獄

 2033年7月23日。

 酒呑童子は右腕の茨木童子と大江山四天王の熊童子、虎熊童子、星熊童子、金熊童子などの手下の鬼達と共に人間や妖怪を狩るように殺していた。

 酒呑童子達は好き勝手に殺し放題だった。

「頼光も死んだからもう誰も儂等を殺す者はいないだろう!ハッハッハッハッハッハ!」

 まさか頼光のような人間ではなく、牛魔王と羅刹女を祖父母に持つ妖怪と人間の血を引いた者が童子切安綱が持っているとはその時の酒呑童子達は、知る由もなかった。


 その頃、小香シャオシャンは京都で昔懐かしい人に会っていた。

 産寧坂で小香シャオシャンはかつて自分が居候していた久保村家の長女の希子との再会に喜んでいた。希子から近況を聞くと、祖母の悦子は牡丹と同じ時期に亡くなった。小香シャオシャンは悦子には大変お世話になり、お悔やみを出来なかった事を後悔した。

 再会を喜んだ2人は近くで食べ歩きをすると、反対方向から中国人観光客の集団とすれ違った。するとその中の3人の男女が小香シャオシャンに向かって

「愚蠢的小香!脑子有问题的小香!爱哭鬼小香!你被酒吞童子杀了吧!(お馬鹿な小香シャオシャン!頭がおかしい小香シャオシャン!泣き虫小香シャオシャン!お前なんか酒呑童子に殺されてしまえ!)」

 と馬鹿にするように大笑いして言った。

 小香シャオシャンにはそれが誰だかわかった。馬鹿にしていたのは、希腊シーラ衛城ウェイチャン愛琴アイチンだった。

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