第25話小香、刀を引き取る。

 2033年5月28日。

 小香シャオシャンは、牡丹が亡くなったショックから立ち直れず暫く休んでいた。それを心配して小巻がアパートを訪れ、1時間ぐらい小香シャオシャンと話をした。

 ふと、テレビを見ると信じられないニュースがやっていた。内容は沖縄で流れ星が落ちた事だった。だが、それはただの流れ星ではなかった。ニュースによるとそれは、矢のように飛んで何処かに落ちた。

 小香シャオシャンと小巻は顔を見合わせた。かつて博物館で行方不明になった童子切安綱を思い出した。


 小巻が帰宅した後も小香シャオシャンはずっとニュース番組を夢中で見ていた。


 2033年5月29日。

 小巻から電話があった。

 沖縄に落ちたのは、行方不明になってた童子切安綱だった事が判明した。

 小香シャオシャンは信じられなかった。まさか童子切安綱が南へ飛んだ事を。


 2033年5月30日。

 小香シャオシャンは単身で日帰りで沖縄に行った。過去に1度、小香シャオシャンは久保村家に居候していた時に沖縄に旅行に行った事があった。

 沖縄で妖怪などを研究している研究チームと共に落ちた場所に向かった。童子切安綱が落ちた場所はなんと海岸だった。

 小香シャオシャンは童子切安綱を抜くと童子切安綱は生き物のように動き、周囲は気味悪がってた。

 すると童子切安綱は、犬のように小香シャオシャンになついてきた。これには、小香シャオシャンもかなり困った。

 だが、素直に童子切安綱を引き取り、京都へ帰った。京都に帰っても童子切安綱はずっと動いていた。


 2033年5月31日。

 小香シャオシャンは童子切安綱を博物館へ返却しに行ったが、童子切安綱が動いてるのを見た館長と学芸員は気味悪がり、

「このままだと展示は無理です!」

 館長はそう嘆き、小香シャオシャンに童子切安綱を引き取るよう交渉したが、小香シャオシャン

「そんな!そちらの物ですし、私のアパートも置き場所ありませんし!」

 と必死で断った。

 だが、館長は頭を下げて必死にお願いした。

 根負けした小香シャオシャンは、童子切安綱を引き取り、すぐ小巻のこの事を連絡し、研究で使えるかもしれたいとも付け加えた。小巻は

「それはあなたがもらった物だから大事にしなさい。あれからまた酒呑童子の研究再開したけど、首塚大明神で酒呑童子の首があの警備員の事件の前の日からなくなってた事が分かったの!もしかして、牡丹さんを殺したのは酒呑童子よ!」

 小巻からそう聞いた小香シャオシャンは腸が煮えくり返りそうだった。


 牡丹を殺したのは酒呑童子…。


 小香シャオシャンは怒りを抑えるよう努力して電話を切った。


 小香シャオシャンは帰宅し、子供のように泣きじゃくり、隣の部屋から怒られたが、小香シャオシャンは無視して泣いていた。そんな小香シャオシャンに気づいたかのように、童子切安綱は小香シャオシャンにすり寄ってきた。

 小香シャオシャンは気づいて童子切安綱を優しく撫でた。

「お前、慰めてくれてるのか?ありがとう」

 と優しくお礼を言った。


 その頃、牡丹を殺してから酒呑童子は機嫌がよく右腕の茨木童子と大江山四天王の熊童子、虎熊童子、星熊童子、金熊童子と酒を呑んでいた。酒呑童子は手下達に人間だけでなく妖怪も殺すと話した。牡丹を殺して味を占めたのだ。

 すぐに、酒呑童子は手下達に指示を出し動き出した。


 それから1週間経った2033年6月6日。

 今度は妖怪達の殺害事件が起こり、ますます警戒せざるを得なくなった。

 妖怪の間では、

「次は俺かな…」

「嫌だ…。殺されたくない」

 と嘆く者がいたり

「アイツら、牡丹を殺して味を占めたんだ!」

「そうかもしれない!他の妖怪も殺せると思ったんだ!」

 と分析する者がいた。


 中国でも話題になり、牛魔王や羅刹女は孫の小香シャオシャンを心配して毎日連絡した。また、父の聖嬰大王と母のメイも毎日連絡をして小香シャオシャンの様子を知った。

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