第43話熊童子②

 2035年6月13日。

 小香シャオシャンは小巻から熊童子が京都に来ていると聞いた。

「これは噂程度なんだけどね」

 そう小巻が話した。

「不思議な事に、死人が出てないのよ。酒呑童子の手下とかいったら毎回殺害事件のニュースやるのに」

 小巻は理解不能と言ったような顔をした。







 その熊童子は酒呑童子の他の手下同様人間に化け、小香シャオシャンを必死で探していた。

 だが、熊童子は先日同様他の妖怪や人に目もくれず探していた。流石にこの行動に気づいた酒呑童子は下っ端を京都まで行かせて熊童子に早く混血と人間や妖怪を殺さないかとカンカンに怒っていると熊童子に告げた。

「やはり気づいていらっしゃったのか…。酒呑童子様…」

 熊童子は座り込んでしまった。






「確かに変ですね。だけど、今までと同じく強いはずです!」

 小香シャオシャンが意見を言うと小巻が、

「あなたの言う通りよ。油断は禁物」

 と頷きながら言った。

「そういえば、前に虎熊童子に壊れされた牛若丸弁慶像が修繕されましたね」

 小香シャオシャンが思い出したように話すと

「そうね。あれもかなり酷かったわ」

「牛若丸も弁慶も首なくなってたし」

「ああいうのを首チョンパって言うみたいよ」

「首チョンパ?」

「覚えなくていいわ」

 そう他愛のない会話をし、小巻は講義室に行くため、研究室を出た。

 残った小香シャオシャンは、資料やレポートに目を通した。

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