第7話小香と照子

 2023年5月18日。

小香シャオシャンさん、お願いね」

 朝礼後、鬼塚に言われた。

 鬼塚は今までの事を考慮し、小香シャオシャンに妖術を使う事を許可した。

 小香シャオシャンは今日も学校の保健室で様子を見ていた。GPSを壊しても甲斐憲子がクレームを言うのは変わりなかった。

 照子が勉強と部活の悩みをするために保健室にやってきた。悩みを聞いてもらった後の照子を捕まえ、放課後話したいから多摩川に来てほしいと小香シャオシャンは告げた。

 放課後、照子が多摩川へ行くと小香シャオシャンが座って待っていた。照子が声をかけると小香シャオシャンは気づいた。

「照子さん、伯母さん、止めたの?」

 小香シャオシャンが単刀直入に聞くと

「止めたんだけど無駄なんだ。うちに来ても愛犬は独り占めするし、保健室の話するとヒステリックになるから嫌なんだ」

 照子が泣きそうな声を出した。

「親は憲子ちゃん庇うし、小学生の頃からやりたかった頼れる大人に話を聞いてもらう事も憲子ちゃんに壊されて私、死にたい…」

 照子が泣き出すと小香シャオシャンは立ち上がり、大声で

「死ぬなよ!」

 照子がビクッとなると小香シャオシャンは腰に手を当て

「私も中国いた時、お祖父様とお祖母様と父上が妖怪だから学校で虐められてたんだよ。そんな時、元々好きだった日本で金長牡丹って狸のお陰で妖怪と人間が共存して生きてるって聞いて逃げてきたんだよ」

 すると小香シャオシャンは下を向いた。

 小香シャオシャンの様子を心配した照子は小香シャオシャンを隣に座らせた。

「最初は知り合いいなかったから途方に暮れていた時、今居候してる家の人達や何でも屋の人達のおかげで私の拠り所ができたんだ…」

「でも、小香シャオシャンちゃんは私みたいに邪魔してくる人いないんでしょ?」

 照子からそう聞かれ、小香シャオシャンは頷いた。

「私思うんだ。身内の照子さんに申し訳ないけど、私、甲斐憲子は毒親みたいだなって」

 小香シャオシャンは以前テレビのニュース番組で見た毒親を甲斐憲子の姿に重ねていた。

「照子さんにとって心の拠り所って保健室でしょ?だったらそれちゃんと伝えなよ!」

 再び、小香シャオシャンは立ち上がった。

「だから照子さん!もっと保健室が心の拠り所で、保健室の先生のおかげで、こういう事ができるようになったみたいな事も伝えたほうがいいよ!」

 小香シャオシャンは力を入れて言うと

「あ!私、年下なのにごめん」

 謝罪すると照子は気にしない様子だった。

 最後は学校の近くで別れ、小香シャオシャンは何でも屋へ戻った。

 だが、多摩川で甲斐憲子が盗み聞きしていた事を2人は知らなかった。


 翌日の2023年5月19日。

小香シャオシャンさん、今日、僕と元々担当していた阿南さんと皇さんも君と一緒に行くよ」

 鬼塚がそう話し、4人で学校へ向かった。

 学校に到着したその時、甲斐憲子が校長と水戸雪乃と山寺孝子に罵声を浴びせていた。校長達は宥めていたが、小香シャオシャン達に気づくと校長は訳を話したが、甲斐憲子は小香シャオシャンを平手打ちした。小香シャオシャンはその場に倒れ込んだ。一華と伊万里が起こしてあげると小香シャオシャンは甲斐憲子を睨みつけた。

 鬼塚は必死で校長達と共に止めたが、甲斐憲子は照子が小香シャオシャンと昨日話している内容を聞いて小香シャオシャンを攻撃しようと考えていた。

レイは別にあなたの姪御さんに何かしようと考えていませんから」

 鬼塚にそう説得されても納得出来なかった甲斐憲子は小香シャオシャンを殴ろうとしたが、様子を見に来た照子に止められた。

「照ちゃん!保健室の先生は前も言ったけど、照ちゃんに責任ないから優しいの!後、あの子は碌でもないからあの子の憧れる金長牡丹を狸鍋にするわ!牡丹は妖怪の癖に威張ってるし」

 甲斐憲子のこの一言で金長牡丹と関わりある鬼塚は金長牡丹の人柄を付け加えて説得していたその時、小香シャオシャンは立ち上がり、父の聖嬰大王の術の三昧の真火を使い、甲斐憲子の髪を燃やした。鬼塚が止め、小香シャオシャンは術を使うのを止めた。

「该死的老太太!(クソババァ!)」

 小香シャオシャンは叫んだ。

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