第17話妖怪差別

 2026年7月6日。

小香シャオシャンさん、おめ、妖怪だべ?」

 ヨハンセンにそう聞かれた。

 小香シャオシャンはなぜヨハンセンが自分が妖怪の血を引いている者だと知っているかわからなかった。最初にヨハンセンが依頼に来た時に小香シャオシャンは自分の事を何も話さなかった。だから、心当たりがなかったのだ。

「え?」

 小香シャオシャンは呆然とし、その様子に気づいたヨハンセンは

「すまねぁー。変な事聞いでしまった。あ!んだ!他の3人はどうしてらんだべ」

 と何かを思い出したようにビニールハウスを去った。

 夕食後、小香シャオシャンは、ヨハンセンに

「ヨハンセンさん、午前中の事なんですけど」

 恐る恐る尋ねるとヨハンセンは忘れていた様子で

「午前中?」

 そう言うと小香シャオシャン

「私が妖怪だって事です」

 と言うとヨハンセンは思い出した。

「んだ!変な事聞いでしまったなー!いや、あの時はすまねぁーでした。小香シャオシャンさん、本当は…」

 ヨハンセンが言うと

小香シャオシャンさんは妖怪です!」

 金田一が遮ると千鶴が金田一を押し退けて

小香シャオシャンさんは、妖怪と人間のハーフなんです」

 はっきり言うとヨハンセンは目を丸くした。

「妖怪ど人間のハーフ?今まで聞いだ事ねぁーんだども。説明してくなんしぇ」

 ヨハンセンは小香シャオシャンの目を見て話した。

「私の祖父母は西遊記の悪役で有名な牛魔王と羅刹女、父は聖嬰大王です。母は人間なんですが…」

 小香シャオシャンは控えめに言った。

「西遊記ってあのドラマにもなった西遊記だが?」

 ヨハンセンが尋ねると小香シャオシャンは頷いた。

「あのドラマ見でましたよ!三蔵法師演じだ夏目雅子、綺麗でしたね。おらの初恋でした」

 ヨハンセンは声を明るくして話した。

「と言う事は、おめはんは中国がら来だのだが?」

 ヨハンセンからそう聞かれ、小香シャオシャンはなぜ日本に来たか話した。

「辛がっただなはん。中国もながなが受げ入れが難しいんだなはん」

 ヨハンセンは残念そうにした。

「中国もって日本は少しずつだけど、受け入れてるじゃないですか?」

 小香シャオシャンが言うとヨハンセンは首を横に振った。

「まだまだだ。おらが農業始める時、ヤギ以外の畜産農家が野菜農家で悩んだ末、結局野菜農家になったんだども、こったなトロールの作った野菜なんて食えるがってスーパーや道の駅がらクレームがぎだよ」

 ヨハンセンが暗く言うと

「酷い…」

 千鶴が泣きそうな声で言った。

「話変わりますが、ヤギって…」

 莉々が言うと

「トロール…ヤギ…」

 千鶴が思い出そうとした。

「あ!絵本の『3匹のヤギのがらがらどん』だ!」

 金田一が叫ぶと

「何それ?」

 小香シャオシャンが聞くと

「そういう絵本があってトロールに食べられないように小さいヤギが機転を効かして橋を渡るんですよ」

 莉々が説明すると

「その通り」

 金田一が言った。

「そのヤギ達にやられだトロールはおらの先祖なんだ」

 そうヨハンセンが説明すると小香シャオシャン以外の3人は驚いた。

「んだがらヤギが嫌いなんだ」

 ヨハンセンは言いにくそうに話した。

「話戻しますが、ヨハンセンさんもそんなクレーム来るぐらい差別されるなんてなんだか変です」

 小香シャオシャンが言うと

「何がですか?」

 千鶴が聞くと

「だって、数年前から金長牡丹のおかげで妖怪共存法が出来て妖怪達がそんなに差別されなくなったじゃないですか?まだ続いているなんて…」

 小香シャオシャンは興奮気味だった。

「牡丹だげじゃ手さ負えねぁーぐらいなんだ」

 ヨハンセンが冷静に言うと

「どうしてですか?」

 千鶴が聞いた。

「鬼だ。鬼が蔓延って犯罪犯したりしてらがらなんだ」

 ヨハンセンが静かに話した。

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