第36話星熊童子⑤

 小香シャオシャンが鴨川から上がると星熊童子は五条大橋から下りた。

 すると、星熊童子は小香シャオシャンではなく、近くにいた男を殺そうとした。小香シャオシャンは猛スピードで男のほうに走り、童子切安綱を抜いて星熊童子の胸を刺した。

「このクソアマが…」

 星熊童子は童子切安綱を抜こうとしたが、小香シャオシャンは抜かせないように動かなかった。

「絶対許せない!お前も酒呑童子も許せない!」

 小香シャオシャンは深呼吸するともう一度星熊童子の胸を力一杯刺した。童子切安綱は胸を貫通し、やがて星熊童子は

「チクショー」

 と叫び、灰となって消えた。

 一部始終を見ていた男は怯えていたが、小香シャオシャンが童子切安綱を納めると男と目が合った。だが、小香シャオシャンは気まずくなった。

 そんな小香シャオシャンの様子を見た男は

「助けてくれてありがとう。つ、強いね」

 男はそう声かけたが、

「あ、あの…」

 小香シャオシャンは恥ずかしそうにした。

「俺、北大路蓮。君、名前は?」

レイ小香シャオシャン

小香シャオシャン、いい名前だね」

 北大路は周りを見ると

「ここだとあれだし、小香シャオシャンちゃん、濡れてるから改めて後で烏丸駅の近くで会おう」

 北大路は小香シャオシャンの手を引いて人通りが少ないところに行った。

 それから小香シャオシャンは自宅アパートに戻ると体をふき、用意した服に着替え烏丸駅に向かった。烏丸駅は小香シャオシャンのアパートから歩いて10分かかるところにあった。

 待っていると北大路がやってきて2人は近くのカフェに向かった。

 そして、北大路は助けてくれたお礼を言い、2人はその後、他愛のない会話をした。

 北大路は小香シャオシャンの祖父母と両親に驚いた。また、小香シャオシャンが9歳で日本に逃げた事も驚いた。

小香シャオシャンちゃんって行動力あるね!」

「そんな!私はただ嫌で逃げただけですし、暫くして祖父が迎えに来たの断ったんですよ!それに…」

「でも勇気あるよ!それに牡丹に憧れてたんでしょ?」

「そうです…」

「謙遜しちゃダメだよ」

「はい…」

 小香シャオシャンは北大路といて星熊童子を殺した後より気まずさがなくなった。

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